老朽化タワマンと「負動産」リスク
国土交通省の『令和5年度マンション総合調査』によれば、全国の分譲マンションの修繕積立金の平均額は月額13,054円となっており、築年数の経過とともに金額が上昇する傾向が見られます。
特にタワーマンションでは、高層階の外壁補修に特殊な足場やゴンドラが必要になるほか、エレベーターの機械更新や給排水設備の全体交換など、建物特有の設備更新コストが高額化しやすいと指摘されています。
また、築年数の経過や設備の老朽化が進む中で、「修繕積立金や管理費が上昇しても資産価値が維持できない」「売却希望者はいるが買い手がつかない」といった事例も報告されており、高額な維持費を支払い続けながら資産としての“出口”が見えにくくなる“負動産化”のリスクも現実味を帯びてきています。
「売るならいまのうちに」と不動産会社に相談した内田さん夫妻ですが、
「眺望が競合物件より劣る」
「修繕積立金が高い」
「築年数が20年を超える」
といった理由から、購入希望者が現れにくい状況だと説明を受けたといいます。
「今さら住み替えるにも、次の物件の頭金や引っ越し費用も重い。出口の見えない“積み立て地獄”に近い状態です」
現在はリフォームや賃貸化も検討しているものの、長期的には「老後に住み続ける覚悟」も視野に入れざるを得ない状況とのことです。
「買った瞬間にゴール」ではないのが不動産。特にタワーマンションは、その利便性や快適性の裏に“維持コストと出口リスク”という構造的課題を抱えています。
見た目の華やかさや立地のよさだけでは語れない、不動産の本質的な価値とリスク。老後まで見据えた住まい選びには、今後ますます慎重さが求められそうです。
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