前回は、不動産の目利きに必要な三つのポイントについて解説しました。今回は、何かともめてしまうことの多い二次相続の対策について基本的な考え方を見ていきます。
一次相続でもめるケースは意外に少ないが・・・
配偶者(母親または父親)のいる一次相続では、配偶者の生活を考えて配偶者が多くの資産を引き継ぐのが一般的で、資産の分割でもめることはあまりありません。税負担を考えても、配偶者が法定相続分もしくは相続税評価額で1億6000万円相当までの資産を相続する場合、「配偶者控除」によって非課税になります。配偶者がなるべく多く資産を引き継ぐ方が有利になるケースが多いのです。
しかし、二次相続になると相続人は兄弟姉妹だけとなり、話をまとめる重石になる人がいません。戦後の民法では兄弟姉妹の権利は平等ですから、それぞれ言いたいことを言い合い、けんか別れになることも珍しくありません。また、二次相続になると配偶者控除は使えないうえ、すでに一次相続で納税資金を使い果たして納税資金に窮するケースが多くなります。
そう考えると、一次相続の後、なるべく配偶者には長生きしてもらい、二次相続が発生するまでの間、十分な納税資金がたまるように資産からインカムを得ることが重要となります。
二次相続対策を行う絶好のタイミングとは?
そもそも、二次相続の直前に相続対策を行っても、その効果には限度があります。二次相続の対策を行う絶好のタイミングは、実は一次相続が発生したときです。一次相続の際、同時に将来の二次相続について検討するのです。
例えば、預貯金等は配偶者が相続し、その預貯金を頭金として同額の借り入れを加え、優良な収益不動産を購入します。それによって相続税評価額を下げながらインカムを得て、それを相続人にあらかじめ贈与したり、資産管理会社を通じて所得分散を図ったりするのです。こうした戦略的な相続対策のプランニングは、経験豊富な不動産コンサルタントでなければ、なかなかできません。
株式会社福田財産コンサル
代表取締役
1959年生まれ。ミサワホームの資産活用部門責任者、アパマンショップの不動産投資会社の責任者を経験後、2004 年に独立系資産経営コンサルティング会社として、株式会社福田コンサルを設立。特に不動産を活用した相続税対策のコンサルティングに絶大な強みを持ち、17億円も相続税を減らすなど同業他社の追随を許さない専門力を持つ。コンサルティングしてきた資産は総額1200億円超。ファイナンシャルプランナー、公認不動産コンサルティングマスターおよび相続対策専門士統括講師、相続アドバイザー養成講座講師。相続税対策や不動産投資に関する複数の著書あり。
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連載相続税対策と収益を短期間で両立する不動産活用術
木村祐司税理士事務所
税理士・アセットコンサルタント
1967年生まれ。中学卒業後、タンカーの甲板員から始まりブルーカラーの仕事にいくつか従事する中で、給料から天引きされる税金に疑問と興味を持ち税理士を志す。1998年12月税理士試験に合格。当初はコンサルティングファームでファイナンシャルディレクターとしての経験を積み、企業会計実務の知見を得た後に木村祐司税理士事務所を開設、現在に至る。
経営者や資産家の財務・税務コンサルティングを強みとし、絶対的な信頼感のもと企業の資金調達、経営管理、節税対策や資産管理、事業承継までを任されている。資産3億円以上を得意とし、相続税・贈与税だけではなく、資産運用の観点からトータル的なTAXプランニングの提案・実行をおこなう。
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