広告代理店で鍛えた対応力が活きる理事長DIY
管理人が「修理手配中」の紙をペタリと貼ったまま、なかなか修理が進まない。そんな場所や光景は「マンションあるある」のひとつではないでしょうか。貼り紙を見れば、「ここで修理が鋭意進行中ですよ」と、やってますアピールをしているかのようですが、具体的に何がどう進行しているのか全く見えてきません。そもそも進行しているならば、紙が貼られたままの状態にはならず、実際はかなり対応が遅れているケースがほとんどです。
この遅れの原因は、タワマン内における、ものごとが決定し実行されるまでの複雑なプロセスにあります。マンションのどこかが壊れたり、不具合が起きたりしたとしましょう。はじめに管理組合の修繕委員が問題を把握し、続いて委員から修繕を依頼された管理人が業者を選定。さらに複数の見積もりを取ってから、ようやく発注が行われます。
修繕業者を探すこと自体が大変な作業で、信頼できる業者を見つけるのは、まるで砂漠でオアシスを探すようなものなので、時間がかかるのも無理はありません。これだけの手続きを経ている間「修理手配中」の紙が貼られ続けるわけですが、あまりにも時間がかかりすぎて、問題箇所がさらに悪化する可能性もあります。
面倒な手続きのわりに、実際の修理作業は案外シンプルなことが多いです。ドライバー1本で対応できる水回りの修理や、家庭用の高圧洗浄機で解消できる配管の詰まりなど、少しの手間で解決できる問題も少なくありません。
ではなぜ問題がややこしくなるのかというと、そこにはひとつのカラクリがあります。管理会社は外注業者に修繕を依頼することで利益を得ているため、簡単に済ませられる修理であっても、業者を介するほうが望ましいわけです。イージーな修繕ひとつでもビジネスが絡みます。
この状況にフラストレーションを感じる住民も少なくないでしょうが、マンションの管理はビジネスなので仕方ありません。管理会社は仏のスマイルで住民のために一生懸命働きながら、鬼の形相で利益確保のための巧妙な戦略を練っています。管理会社のビジネスモデル自体がそうなっているので、恩恵を賜りたかったら従うしかないのです。
そこで一肌脱いだのが、理事長である私。会社では多忙な業務の中で臨機応変な対応力と判断力、スピード感が要求されます。入社してからひたすらに鍛えられてきました。
その能力をマンション管理にも活かして、業者を待つ時間を無駄にせず私が即座に対応すれば、さまざまなコストを削減できます。初めこそ不慣れでしたが、水回りの修理や配管の詰まり解消など経験を積むうちにスキルが向上。自分で言うのもなんですが、今ではお手のものです。
竹中 信勝
タワマン理事長
