理事長みずから草をむしれば月7万円の節約
管理会社に管理を依頼している我がマンション。エントランスの床が汚れたらきれいにしてくれるし、ドアが故障したら修理してくれるし、なんでも管理人がやってくれます。
いつもの流れでマンション敷地内の草むしりもお願いしたところ、やってくれませんでした。急にシビアな線引き。ひどい管理会社だと思われるかもしれませんが、管理会社は契約外の仕事はやってくれません。追加の費用を払えばもちろん対応してくれますが、清掃などは基本的に管理会社から外注した業者が行っているので、費用が発生するのです。
ことの発端は、管理人に「理事長、屋上に草が生えていて、何とかしないと将来漏水の原因になりますよ」と言われたことです。それまで屋上になど行ったことがなく、そこに草が生えているなんて想像もしていませんでした。タワマンの屋上には非常用のヘリポートがあり、普段は鍵がかかっている場所で、一般の住民が気軽に近づくことはできない場所です。管理人の案内で初めて屋上に上がってみると、雑草がかなり密集して生えていました。そこでふと、甦(よみがえ)ってきた昔の記憶……。
私は会社の社会貢献部の活動で富士山の樹海に行き、エコツアーインストラクターをしていたことがあります。そのとき、「なぜ、土のない樹海に植物が生えているのか?」について、「植物の種は風に運ばれて飛んできたり、鳥の排泄物に混じって運ばれたりして移動します。その種が苔などの水分を使って生えてくるのです」と子どもたちに教えていました。それがまさに私の住むタワマンの屋上で起き、目の前に雑草地が広がっていました。
タワマンの屋上にはもちろん土はありませんが、溜まった雨水や、落ち葉や鳥の糞、虫の死骸などが堆積したところに根を生やして、コンクリートの間にどんどん入り込んでいくのです。雑草が生えたコンクリートにはたくさんの亀裂ができ、建物を傷める原因になると聞いて震えました。
そこで管理人にすぐ草むしりをお願いした、というのが冒頭のお断り話に繋がるわけです。
ちなみにタワーマンションの屋上は風が強く、たとえ草むしりであっても作業時には命綱をつけてするそうなので、費用が高くなるとのことでした。
仕方がないので、理事長である私みずから草むしりをすることに。「草が生えるのは春から夏にかけてであって、毎月やる必要はない」と自分に言い聞かせて、ひとり無心で雑草と戦ったのであります。これがまた、ナメてかかったわけではないものの、想像していたよりしんどいもので……。
その後は年何回か他の予算を削り、草むしりも管理会社にお願いしたのは言うまでもありません。
