隙を突いて多発する不審者侵入事件
鉄壁のセキュリティがウリなはずのタワマンで、頻発する不審者侵入事件。ここは戦国の世か!? と錯覚するほどに、忍びの者がやってくるのです。タワマンは「最新のセキュリティシステムと管理体制で、安全な居住空間を提供しています」とは謳っているものの、現実はそう簡単ではありません。どんなに対策を打っても完璧な防犯体制は存在せず、毎日のように何かしらのトラブルが発生します。
ある日、我が家に設置されたマンションの管理人室と繋がっているインターホンがけたたましく鳴りました。「理事長! 今お時間ありますか?」と管理人が慌てた様子で尋ねてきたのです。何事かと話を聞くと、「先ほど住民の方から通報があって発覚したのですが、不審者が侵入しました。防犯カメラの映像を確認したいので、理事長に立ち会っていただきたいのです」とのこと。
私は了承し、大急ぎで管理人室に向かいました。我がマンションでは、防犯カメラの映像を管理人だけで見ることができないルールになっており、何かあるたびに理事長の立ち合いを求めて呼び出されることがこれまでに何度もありました。管理人室に入ると、奥にあるモニターで警備員が映像をチェック中。しばらく時間をかけて何十台もある防犯カメラの映像を早回しで確認したものの、不審者は見当たりません。
私は広告会社で多くのテレビCM制作に立ち会ってきて、この手の映像確認作業には慣れています。しかし、尺が短い広告とは違って、防犯カメラの映像は延々と続く長編の確認作業になるため違和感があり難しかったです。結局、いくら探しても不審者の姿は見つからず、幸いにも被害がなかったため、警察への届け出の提出は見送りました。
防犯カメラにはいくつかの種類があり、それぞれに特徴と特有の用途があります。まず、最も一般的な固定カメラは、特定の視野角を持ち、指定した場所を常時監視します。次に、パン・チルト・ズーム(PTZ)カメラがあります。これは遠隔操作でカメラの向きやズームを調整でき、広範囲の監視が可能です。ドームカメラは半球状のカバーに覆われており、カメラの向きを外部から見えにくくするため、防犯効果が高いのも大きな利点です。赤外線カメラは夜間でもクリアな映像を提供し、低光環境でも有効な点が強みです。
これらのカメラはすべてデジタルビデオレコーダー(DVR)やネットワークビデオレコーダー(NVR)に接続することで、映像が記録・保存されます。DVRはアナログカメラ向けに、NVRはIPカメラ向けに使用され、インターネットを通じて遠隔地からも映像を確認できます。さらに最近ではモーションディテクションや顔認識などの高度な技術も取り入れられており、異常が検知された場合は即座にアラートが発信されます。
こうした技術の進歩もあってタワーマンションのセキュリティは大幅に向上していますが、カメラだけでは完全な防犯は難しく、日々の注意が欠かせません。私たちも不審者侵入の問題が発生するたびに新しいカメラへの更新を検討しますが、費用の問題もあって、機械の寿命が来るまではなかなか実行できないのが現状です。
