悪質! 奇行! トイレットペーパー事件
「1階のトイレで悪質なイタズラです」と管理人から連絡が入りました。ん? 1階にトイレなんてあったっけ? と一瞬考えてしまったくらい、そのトイレは目立たない場所にあります。ひょっとすれば、住民でも1階トイレの存在を知らない人がいるかもしれないレベルです。
タワマンには、共用部にトイレを備えているところが多く、基本的には住民と住民を尋ねてきたお客様が利用するためにあります。管理人の話によると、トイレに収納してあった予備のトイレットペーパーが3個、便器の中に投げ込まれていたそうなのです。なんたる奇行! 犯人の目的がまったくわからないし、わかりたくもありません。ですが理事長としては問題に向き合わざるを得ず、調査を開始しました。
トイレを利用できる人は、住民、もしくは住民から許可を受けて玄関のセキュリティを通過した人に限定されます。なので、身内犯行説が浮上しました。子供のイタズラか?……にしては取り出すのが困難な場所に予備のトイレットペーパーがしまわれていたようで、いくら考えても謎は解けませんでした。
それでも今後の対策を考えなくてはならないので、ふたつの措置を講じました。まずはトイレ清掃の際、予備のトイレットペーパーがあるかどうか確認し、その日時がわかるよう書き込んだ紙をドアに貼り付けること。これにより定期的にチェックしていることをアピールし、抑止力に繋げます。
もうひとつは、防犯カメラの向きをトイレに繋がる通路が映るよう修正すること。タワマン内には複数の防犯カメラが設置されていますが、トイレは場所柄プライバシーの問題があるので、防犯カメラの死角になっています。せめて通路まで映しておけば、犯人の特定がしやすくなると考えての施策でした。
事件は迷宮入りしかけていましたが、後日まさかの犯人が判明。急展開です。管理人から聞いた話では、マンションの出入り業者の男が犯人だったそうなのですが、なぜわかったのかまでは教えてくれませんでした。名探偵、管理人。
竹中 信勝
タワマン理事長
