ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中!
富裕層の資産承継と相続税 富裕層の相続戦略シリーズ【国内編】
『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【実践編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)
『富裕層が知っておきたい世界の税制【カリブ海、欧州編】』
矢内一好 (著)+ゴールドオンライン (編集)
シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!
廃棄物処分場の“どん詰まり”につくられた「夢洲」
ふりかえって、東京オリンピック2020、大阪・関西万博2025を考えてみたときに、その目的意識や開催準備の過程、その結果について前回の国際イベントと比較して、本当に同じ国家が開催しているのだろうか、と疑問に思うぐらい残念な方向に進んでいると言わざるを得ない。
まず、開催地であるが大阪湾に突出した北港処分地という名の通り、海の中に堤防を築き、都市の廃棄物を処分しながら浚渫土(しゅんせつど)や工事残土と共に人工的に埋め立てられた孤島であった。それが現在の「夢洲」である。
この場所選定が後々まで尾を引き、万博の開催準備で大きな足かせとなっただけでなく、2000億円以上の投資を強行した割には、70年万博に見られたような、万博準備に合わせた周辺都市の整備や、万博開催後の跡地利用など、その後の都市の発展に繋がっていくきっかけがなにもないのである。
その理由は、既存の都市構造と乖離した立地であるだけでなく、会場周囲は未だ海中であり、将来の人口増加を期待できる住宅地でもなければ、商業地域も存在せず、また夢洲へアプローチする公道も通り抜けの1本があるだけである。つまり、公共交通機関も乗降客の将来像を見通せない都市計画となっているのである。
なぜ、そのようなどん詰まりに会場選定がなされたのかと問えば、誰しもがIR誘致のためであったと答えられるぐらいに知れ渡っている。今回の大阪・関西万博の開催理念とは完全にかけ離れた動機なのである。
もちろん、そこに「人類」という文字もテーマもない。
夢洲選定の背景にある「カジノ誘致」
IRとは統合型リゾートといかにも意味深な名称がつけられているが、簡単に言えばカジノを誘致するための背景となる商業リゾート地のことである。
我が国では以前より米国のラスベガスやアジアではマカオ、シンガポールに存在する金銭を賭けて様々なゲームを楽しむ公認の賭博場、いわゆるカジノが存在しない。そのことが世界中の超富裕層が来日しない理由のひとつであり、観光地としても大きなお金を落とす場所がない、ということを理由として、以前よりカジノ誘致の施策が練られていた。
しかし、賭博を公然と誘致することに日本国民の反発も大きいことから、日常生活とは離れた隔離された空間として、高級リゾート施設群の中のほんの一角を占めるのみである、という建前で3%ルールというものを設けた。
IR法というものが施行され、統合型リゾート施設規模全体の面積の3%の広さしか賭博用途では使用しない、と法規制したわけである。IR全体では77万m2の規模があり、カジノで使用する面積は2.3万m2だという。2.3万m2とは正方形でいえば約150メートル角。軟式野球のグラウンドほどの広さである。
もちろん平地で展開するのではなく、ホテル形式で多層階におよぶ建物として準備されるもので、大都市の駅ビルのような規模である。これは必要なカジノ面積をもとにして、3%で割り戻した面積を、全体のIR面積として77万m2を確保したのだろうと予想される。これだけの巨大な面積を確保しつつ既存の都市や日常からかけ離れた場所、という想定が「夢洲」での誘致の発想に至ったわけである。
しかしながら、夢洲は元々廃棄物の処分場だっただけでなく、このIR誘致、万博開催決定の時点でも、まだ埋め立て中だったのである。
森山 高至
建築エコノミスト/一級建築士
注目のセミナー情報
【海外不動産】12月18日(木)開催
【モンゴル不動産セミナー】
坪単価70万円は東南アジアの半額!!
世界屈指レアアース産出国の都心で600万円台から購入可能な新築マンション
【事業投資】12月20日(土)開催
東京・門前仲町、誰もが知る「超大手ホテルグループ」1階に出店!
飲食店の「プチオーナー」になる…初心者も参加可能な、飲食店経営ビジネスの新しいカタチとは?
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
