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現物買いと信用売りを同時に行う「クロス取引」を使うと、株価変動の影響を受けずに、低リスクで株主優待を手に入れることができます。
この記事では、クロス取引の一種である松井証券の独自サービス「優待クロス注文」について、
「他社のクロス取引とは何が違うの?」
「私が狙っている銘柄も対象?」
「コストはかかるの?」
といった疑問を持っている方に向けて、基本的な仕組みから実際の注文方法まで、わかりやすく解説します。
最後まで読むと、株主優待をお得に獲得できる方法がわかり、取引の選択肢を広げられます。
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〈目次〉
1.「優待の権利落ち」による株価下落を回避するには?
通常、株主優待の権利を獲得すると、権利確定日の翌日は優待目的で買った人の売りが集中し、株価が下落するのが一般的です。
たとえば、権利付最終日に優待銘柄を購入して3,000円分の株主優待を獲得しても、翌日は一気に4,000円の含み損を抱える、といったイメージです。
しかし、同じ銘柄・同じ株数を、「現物買い」と「信用売り(空売り)」を同時に行う「クロス取引」という方法を使うと、現物株の値下がりによる損失を信用取引の売却益で相殺し、株価下落のリスクをヘッジできます。
特に、株主優待や配当の権利を得るために行うクロス取引を「つなぎ売り」と呼ぶことが多く、多くのネット証券で利用できます。
ただし、「逆日歩」(株不足のときに信用売りをした人が支払う追加のレンタル料)が発生するリスクは避けられません。過去には、3,000円分のお蕎麦の株主優待を獲得するために、9万円もの逆日歩を支払った人の事例もあります。
そこで登場するのが、「つなぎ売り」の課題を解消した、松井証券の「優待クロス注文」です。
次章では、優待クロス注文のメリットを紹介します。
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2. 松井証券の「優待クロス注文」のメリット5つ
ここでは一般的な「つなぎ売り」ではなく、松井証券の「優待クロス注文」を利用するメリットを5つ紹介します。
■松井証券の「優待クロス注文」のメリット5つ
それぞれ解説します。
メリット①:逆日歩がかからない

松井証券には、次の4種類の信用取引があります。
- 制度信用取引
- 無期限信用取引
- 短期信用取引
- 一日信用取引
このうち、逆日歩が発生する場合があるのが、①制度信用取引です。制度信用取引の対象銘柄で信用売りを行うと、取引日の翌営業日の12時ごろに逆日歩が発表され、思わぬコストが発生することがあります。
人気の高い優待銘柄では、高額な逆日歩が発生し、株主優待の価値を上回る支払いが生じることも少なくありません。
ただし、松井証券の優待クロス注文は、逆日歩の発生しない②無期限信用取引と③短期信用取引が対象のため、予想外のコストが突然発生するリスクを心配することなく、株主優待を獲得できるチャンスがあります。
メリット②:一度の操作で注文ができる
通常のつなぎ売りは、「現物買い」「信用売り」「現渡(げんわたし)」の3つの注文を別々で行う必要があります。
一方、松井証券の優待クロス注文は、「現物買い」「信用売り」「清算注文の予約」を一度の操作で発注できます。そのため、注文ページの移動や入力の手間が省け、注文ミスも起きにくくなります(清算予約による約定は手数料無料)。
なお、清算注文の予約とは、株主優待の権利を取得した日の翌営業日に、一連の売買を自動で終了させるために行われる反対売買のことを指します。
メリット③:東証の取引時間中も発注できる
通常のつなぎ売りは、東証の取引時間中には発注できません。
一方、松井証券の優待クロス注文は、東証の取引時間中を含む時間帯で発注可能で、柔軟性が高いのが特徴です。ただし、実際に約定するのは8時20分~15時30分に限られます。
■「優待クロス注文」が可能な時間
| 注文受付時間 | ・3時15分~15時30分 ・17時~翌2時15分 ※ 6時~6時30分は一時的に利用できない時間帯あり |
| 取引時間 | 8時20分~15時30分 |
メリット④:1日の合計約定代金が50万円以下は取引手数料が無料
松井証券の国内株式の取引手数料は、1日の約定代金(現物+信用取引)の合計で決まる「ボックスレート(定額料金)」です。ただし、1日の約定代金が50万円以下は取引手数料が無料で、これは優待クロス注文にも適用されます。
つまり、約定代金が25万円までの銘柄(通常は株価2,500円)であれば、現物買いと信用売りを合わせても合計50万円以下となり、取引手数料無料で優待クロス注文を行えます。
メリット⑤:制度信用取引では信用売り不可の銘柄も発注できる場合がある
通常のつなぎ売りでは、信用売りは「制度信用」で行われることが多く、対象は東証などの取引所が指定した銘柄に限られます。そのため、人気の優待株は信用売りができず、クロス取引ができないケースも少なくありません。
しかし、松井証券の優待クロス注文では、信用売りに「無期限信用」もしくは「短期信用」が使われ、対象銘柄は松井証券が独自に選定しています。
そのため、銘柄数は限られますが、制度信用では売建できない人気銘柄でも、松井証券なら信用売りが可能となり、優待クロス注文ができる場合があります。
さらに、松井証券の独自サービス「短期信用プレミアム空売り(一日信用で人気の銘柄が空売りできるサービス)」の対象銘柄も優待クロス注文ができる場合もあります(返済期限は14日で、信用区分は「短期信用」に該当)。
なお、短期信用プレミアム空売りの銘柄は、公式サイトの「短期信用プレミアム空売り 取扱銘柄」で確認できます。
\「優待クロス注文」は逆日歩発生の心配なし/
3. 松井証券で「優待クロス注文」を行う際の注意点3つ
「優待クロス注文」のメリットの次は、利用する際の注意点も3つ紹介します。
それぞれ解説します。
注意点①:対象銘柄が限られる
松井証券で優待クロス注文ができる銘柄は、他社で「一般信用」を利用してクロス取引ができる銘柄と比べて多くはありません。
また、優待クロス注文の対象銘柄は、松井証券が指定する「無期限信用」および「短期信用取引(短期信用プレミアム空売りを含む)」に限られます。
ただし、他社でつなぎ売りを行う場合は、「現物買い」と「信用売り」を別々に発注する必要があり、約定価格にずれが生じる可能性があります。
優待クロス注文は、一度の操作で発注できて約定価格にずれが生じない点が強みなので、つなぎ売りを行う場合は、希望する銘柄が松井証券で対象になっているかを確認し、在庫がなければ他社を検討することをおすすめします。
注意点②:1日の合計約定代金が50万円を超えると取引手数料が発生する
メリット④でお伝えしたように、松井証券の場合、約定代金が25万円以下(100株単位で株価2,500円以下)の銘柄であれば、現物買いと信用売りを合わせても合計50万円以下となり、取引手数料無料で優待クロス注文が可能です。
しかし、SBI証券と楽天証券では、電子交付や特定コースへの変更など所定の条件を満たすと、約定代金に関係なく取引手数料が無料になります。
そのため、現物買いと信用売りの合計約定代金が50万円を1円でも超える場合は、取引手数料の面では松井証券より他社のほうが有利になることがあります。
注意点③:諸経費がかかり、コスト負けする場合がある
メリット①で触れたように、松井証券の優待クロス注文の信用売りは「無期限信用」または「短期信用」で行うため、逆日歩は発生しません。ただし、信用売りにはその他にも諸経費がかかるため、注意が必要です。
受け取れる株主優待の価値より諸経費のほうが多くなると、優待クロス注文を行う意味が薄れてしまいます。
ここでは、株価1,500円、配当金30円、株主優待の価値が3,000円の架空の銘柄を例に、優待クロス注文にかかるコストの計算方法を解説します。なお、貸株料などの諸経費の数値はすべて参考です。
■「優待クロス注文」にかかるコストの計算方法
| 項目 | 説明 | 計算 | コスト |
| 取引 手数料 |
株式の売買時に証券会社に支払う手数料。 |
現物買い:1,500円×100株=150,000円 新規売り:1,500円×100株=150,000円 約定代金の合計:300,000円 |
0円 |
| 貸株料 |
信用売りをした株式を借りるために支払うレンタル料。 |
150,000円×3.9%÷365日×2日(最低) |
32円 |
| 現渡 手数料 |
現渡決済時の手数料。 |
原則無料 | 0円 |
| 逆日歩 |
信用売りで株不足時にかかる追加費用。制度信用のみ。 |
松井証券の優待クロス注文では発生せず |
0円 |
| 配当金 調整額 |
現物買いで受け取る配当額と 信用売りで支払う配当額の差額負担分。 |
支払い:30円×100株=3,000円 |
609円 |
上記の場合、コストの合計は641円(=32円+609円)となり、3,000円分の株主優待を受け取るためにコスト負けすることはありません。
しかし、松井証券で1日の約定代金合計が50万円を超える銘柄を取引したり、権利確定日のかなり前から取引を始めて貸株料が増えたりすると、諸経費が株主優待の価値を上回るケースもあります。
優待クロス注文は、松井証券に在庫がないと取引できませんが、短期信用取引ができる権利確定日の14日前に注文をすると、日数分だけ貸株料が増加します(無期限信用で清算予約注文をする場合は「翌営業日から28日以内」に設定する必要あり)。
松井証券に限らず、つなぎ売りを行う場合は、発注タイミングとかかるコストを考慮し、総合的に判断することが大切です。
優待クロス注文を行うには、松井証券の信用取引口座の開設が必要です。
証券会社の審査に通過しないと、そもそも信用取引口座を開設できません。

\「優待クロス注文」は一度の操作で発注完了/
4. 松井証券の「優待クロス注文」のやり方【PC画面で解説】
本章では、松井証券で優待クロス注文を発注する手順を、実際のPC画面を使って解説します。流れは次の5ステップ。
順番に解説します。
STEP1:ログインする
松井証券のお客様サイト(PC)にログインします。ログイン時は、「電話番号認証」が必須です。
なお、優待クロス注文は、「お客様サイト(PC・スマホ)」に加えて、「日本株アプリ」からも発注可能です。
STEP2:「優待クロス」画面を開く
ログイン後、上部メニュー「日本株」>「優待クロス」の順に進み、優待クロス注文の画面を表示してください。

STEP3:銘柄を検索する
優待クロス〈銘柄検索〉の画面で、「優待内容」「必要投資金額」「優待確定月」「信用区分(「すべて」「短期」「無期」「短期または無期」)の4つ」などの条件から、優待クロス注文が可能な銘柄を探しましょう。決まっている場合は、銘柄コードを入力して調べることもできます。

なお、「表示条件」の「在庫0を非表示」にチェックを入れると、短期信用で松井証券に在庫がない銘柄、つまり、現時点で優待クロス注文を利用できない銘柄を非表示にできます。今回は、優待確定月「9月」、信用区分「短期」、「在庫0を非表示」にチェックを入れて、「検索」をクリックします。

現時点で優待クロス注文ができる銘柄には、一番左の「注文」の欄に「クロス注文」と記載されます。

狙っていた銘柄が優待クロス注文ができる状態だった場合は、「クロス注文」と表示されたテキストをクリックします。ここでは、「モスフードサービス(8153)」を選択します。
■補足
上記の検索結果画面に関して、短期信用の「在庫0を非表示」の条件を設定したにもかかわらず、東京地下鉄(9023)に「クロス注文」の表示がありません。
これは、「短期信用」のなかでも「短期信用プレミアム空売り」の対象であることを意味しています。この場合、短期信用プレミアム空売りで信用売りは可能ですが、優待クロス注文はできません。
STEP4:注文内容を入力する
優待クロス注文入力の画面が表示されたら、口座区分や株数、値段(指値のみ、直近価格の上下7%以内の範囲)の必要項目を入力します。優待クロス注文では、成行注文はできません。

なお、初期設定では「清算注文の予約」が「あり」となっており、「次回優待権利落ち日に清算する」にチェックが入っています。清算注文(反対売買)を自分で行う場合は、「なし」に変更し、チェックを外してください。
すべて入力したら、最後に「注文確認」をクリックします。
STEP5:注文内容を確認して発注する
「優待クロス注文確認」の画面で注文内容を確認したら、取引暗証番号を入力して、「注文する」をクリックします。

そして、「ご注文を受付けました」と表示されたら、優待クロス注文の発注は完了です。
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5. よくある質問
最後に、松井証券の優待クロス注文に関するよくある質問に7個回答します。
Q1. 松井証券の優待クロス注文は「日本株アプリ」からも発注できますか?
はい、できます。優待クロス注文は、「お客様サイト(PC・スマホ)」もしくは「日本株アプリ」より発注可能です。
Q2. 松井証券の優待クロス注文は「NISA口座」でも発注できますか?
松井証券に限らず、NISA口座では信用取引ができないため、優待クロス注文もできません。
Q3. 松井証券の優待クロス注文はいつから発注できるようになりますか?
短期信用で優待クロス注文を行う場合、権利確定日の14日前ごろより、利用可能な銘柄には優待クロス〈銘柄検索〉の画面で「クロス注文」のテキストが表示され、発注できるようになります。
なお、無期限信用で優待クロスを行う場合、松井証券に在庫があれば、たとえば2ヵ月前に発注することも可能です。ただし、清算予約注文の指定可能な範囲は「翌営業日から28日以内」のため、権利落ちに合わせて清算予約はできません。さらに、日数が長くなると貸株料の諸経費も増加するため、コスト負けに注意しましょう。
Q4.「余力エラー」が表示され、優待クロス注文ができません。
優待クロス注文は、「現物買付余力」と「信用新規建余力」の範囲内で発注できます。使用可能保証金30万円、または信用新規建余力率30%を下回ると「余力エラー」と表示され、発注できません。
優待クロス注文は信用取引を伴う取引であるため、資金には余裕を持って活用してください。
Q5.「短期信用」で在庫があるのに、優待クロス注文ができません。
優待クロス〈銘柄検索〉の画面で、在庫があるにもかかわらず、「クロス注文」の表示がない場合は、「短期信用」のなかの「短期信用プレミアム空売り」の対象である可能性があります。
短期信用プレミアム空売りの対象銘柄は、信用売りは可能ですが、優待クロス注文は利用できません。
Q6. 在庫状況はいつ更新されますか?
優待クロス〈銘柄検索〉の画面で表示される在庫(松井証券で貸し出し可能な株券の数)は、毎営業日の17時ごろに更新されます。
人気の優待銘柄はすぐに在庫がなくなることが多いため、優待クロス注文を狙う場合は、在庫状況をこまめに確認することをおすすめします。
Q7. 在庫は復活することはありますか?
可能性は低いですが、松井証券の在庫がなくなっても、貸した株が返済されると、在庫が回復する場合もあります。
6. まとめ
この記事では、松井証券の独自サービス「優待クロス注文」について解説しました。
優待クロス注文は、株価変動のリスクを回避して株主優待を獲得できる方法ですが、銘柄の制限や諸経費がかかる点など、デメリットも理解して利用することが重要です。特に、貸株料が株主優待の価値を上回らないように、事前にコストを把握することが必要不可欠です。
この記事を参考にして、松井証券で株主優待をお得に受け取り、取引戦略の幅を広げましょう。
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個人投資家に根強い人気がある松井証券。SGO編集部では、マーケティング部の佐々木副部長にインタビュー取材を実施し、「初心者に支持されている理由」「取引ツールの使い分け方のアドバイス」「初心者が資産形成に取り組むときのヒント」「松井証券ポイントの活用法」などについて伺いました。
『【社員インタビュー】「投資をまじめに、おもしろく。」をスローガンに、ネット証券のパイオニアが取り組んでいること』からご覧ください。
