ボロアパートに引っ越し…実感する「幸せ」
65歳を迎え、自分も年金を受け取れるようになった年。礼子さんは夫に「少し離れて暮らしてみたい」と告げました。夫は最初こそ反発しましたが、最終的に理解を示しました。
こうして礼子さんは離婚ではなく「別居」を選びました。長年暮らした家から3駅離れた築35年のアパートで、家賃は4.5万円。パートと年金で月14万円ほどの暮らしです。
「見た目はさておき、室内はけっこう綺麗ですよ。なにより全部私だけのスペースっていうのが最高です」
決して豊かではありません。それでも礼子さんは「幸せ」と笑います。好きな時に友人とお茶をし、散歩を楽しみ、夕食は自分の好きな献立を選ぶ。読書に没頭する夜もある。誰にも気を遣わず、自分のために時間とお金を使えることが、こんなに心を満たすとは思いませんでした。
また、月に数回は夫と会って話をしています。
「家事をしたことのない人だから大変みたいですよ。食費が思ったよりかかるってボヤいてました(笑)。やりくりの大変さがちょっとは分かったらいいんですけどね」
離れて暮らすという選択は、礼子さんにとって自分の人生を取り戻す大切な一歩でした。それと同時に、夫への感謝も生まれたと言います。
「やっぱり年寄りの一人暮らしはやっぱり不安な部分もあります。もっと年を取ったら、安全面やなんかを考えて、元の家に戻る可能性もあるでしょうね。離婚を選ばなかったのは、自分のためにもよかったかもしれません」
とはいえ、65歳にして得た自由。しばらくはその生活を存分に楽しむつもりだといいます。
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