Google、Facebook、Amazonの共通点
Leapset社は自社のソフトウェアエンジニアを6人ほどのチームに分け、社内組織を再編した。協働と個人作業の両方を可能にする少人数チーム制の導入は、メンバー間の衝突を減らし、生産性を高め、メンバーの創造性を次なるステージへといざなう。
課題に取り組むメンバーが多ければ多いほど、創造性に優れた好ましい解決法がより早く見つかるというのが一般的な考え方だ。しかし、シリコンバレーに拠点を置く大企業の何社かはこれに異を唱えて、社員たちを少人数制のチームに分け、協働と個人作業が可能な環境を整えた。GoogleもFacebookもそうしてきたのだ。
Amazonのジェフ・ベゾス氏は、この考え方を「2枚のピザ理論」と呼んでいる。ピザ2枚で賄うことが出来ないチームはメンバーが多すぎるという考えがネーミングの由来だ。そして今では、アメリカにある個人経営のレストランをオートメーション化するソフトウェアや製品を開発するLeapset社が、スリランカに設置する開発センターにこの少人数チームの仕組みを導入するまでになった。
チームが大人数であればあるほど、メンバーの貢献度は下がり個人の業績も落ちる。チーム全体としてはより多くのタスクを達成できるかもしれないが、個人単位で見ると一人ひとりの生産性は落ちる。つまり、本質的には低い効率で多量な仕事をこなしていることになる。大きなチームでは、コミュニケーションの問題などもあり、メンバー間の衝突も多くなる。メンバーが増えると、その分マネジメントもより一層必要になるのだ。
理想はテスラ・モデルS搭載の「加速装置」
180人強をスリランカに抱えるLeapset社ではこの問題に対し、スリランカ支社にいるすべてのエンジニアを6人以下に分け、20ほどのチームを設ける解決策を講じた。Leapset社は、この取り組みを米国の電気自動車テスラ・モデルS車に搭載され、わずか3.2秒で静止状態からおよそ時速100kmまで加速する「インセイン・モード (insane 狂気)」にちなんで、インセイン・エンジニアリング(insane engineering)と呼んでいる。
テスラ・モデルSがこれだけ急激に加速できる理由は、ボンネットを開いてみると分かる。この車の構造は、その他のエンジン燃焼型自動車とは完全に異なっているのだ。テスラ・モデルSが使用するリチウムイオン電池型の電気モーターは、車輪のシャフトの上に設置され、その力を直接車輪に伝えている。通常は、伝達する過程で摩擦が起きエネルギーを消耗するため、車エンジンが生み出す力の30%しか車輪に伝わらないのだが、テスラ車の場合、その力の90%が車輪に届くため、爆発的な加速が可能なのだ。
「ソフトウェアエンジニアリング上でインセイン・モードを発動するにはどうすればいいか模索しています」とLeapset社の共同創立者でスリランカ支社常務取締役のShanil Fernando氏は言う。「メンバー同士が衝突することなく効率良くソフトウェアを開発しながら、皆の創造性と起業家精神を維持していきたい」と話し、その取り組みの結果、今まで以上にメンバーが能力を発揮しやすいチームになったと述べた。
次回は、少人数チームの特徴やこのチーム制の更なる導入事例についてお届けします。