(※写真はイメージです/PIXTA)

近年、ビットコインへの注目はますます高まっています。資産の一部として位置づけられ、本格的な法整備が進んだことも記憶に新しいでしょう。ハッキング事件や市場の急落など不安要素もあった中で、なぜぜビットコインを重視する富裕層が増えているのでしょうか。宮脇さき氏の著書『世界の新富裕層はなぜ「オルカン・S&P500」を買わないのか』(KADOKAWA)から一部を抜粋・再編集し、詳しく解説します。

ビットコインの保有=究極の利益確定?

ところで、ビットコイン投資をしている人の多くが頭を悩まされるのが、利益確定のタイミングです。私自身は、現時点では、ビットコインを円やドルといった法定通貨に積極的に戻す必要性をそれほど感じていません。

 

その理由は、法定通貨はインフレや通貨安のリスクと常に隣り合わせですが、金やビットコインは法定通貨とは異なるメカニズムで価値を保持する力を備えているためです。そのため、資産保全という観点から見ると、ビットコインをわざわざ実質的に目減りしていく可能性のある法定通貨に戻すことは合理的ではないと考えるのです。

 

しかも、今はビットコインで不動産を購入できる国や地域も増えています。例えば、私が拠点としているドバイでは不動産の購入手段としてビットコインが一般的に受け入れられています。

 

さらに日常的な金額、例えば数万円程度の送金や現地通貨への両替でも、ビットコインはスムーズに利用できるようになってきています。手数料もごくわずかで済むため、国境を越えた送金など、使いたい時に使える通貨としての利便性も、日々実感しているところです。

 

ですから、「ビットコインを保有し続けること自体、ある意味で究極の利益確定」と考える投資家もいます。つまり、円やドルのように長期的に価値が目減りする資産に戻すのではなく、価値の保存手段としてビットコインをそのまま保有するという戦略です。

 

実際、ビットコインと円の為替チャートを比較してみると、表面上はビットコインが上昇しているように見えますが、裏を返せば「円が相対的に下落している」ことがよくわかります。

 

[図表]ビットコインと円の為替チャート

 

この視点に立てば、富裕層や機関投資家がビットコインを購入しているのは単に短期的な値上がり益を狙っているのではなく、「法定通貨の価値下落から自分の資産を守るため」だと解釈できます。つまり、ビットコインは単なる投機対象ではなく、資産防衛の一手段として捉えられつつあるということです。

 

こうした傾向は個人投資家だけでなく、機関投資家や大手金融機関の動きにも表れています。例えば、世界最大級の資産運用会社ブラックロックは、顧客に対して全体の資産のうちの2%程度を暗号資産に配分することを推奨するレポートを公に出しています(2024年12月)。

 

こうしたアドバイスが示すのは、「ビットコインをポートフォリオに全く組み入れないことは、将来に向けた機会損失のリスクになりつつある」という金融業界の認識の変化です。

 

今後、各国で暗号資産に関する規制の整備や、金融機関によるカストディサービス(資産管理サービス)や投資商品の提供が本格化することで、ビットコインを含む暗号資産がより本格的にポートフォリオの一部として位置付けられていく可能性は高いと考えられます。

 

また、ドバイやトルコのように街中に暗号資産の両替ショップがある国も珍しくありません。クリプトから現地通貨やドル、ユーロなどに換金できるのです。それほど、世界のいろいろな場所で使える資産に進化しているのが現状です。

 

 

宮脇 さき

個人投資家

 

※本記事は『世界の新富裕層はなぜ「オルカン・S&P500」を買わないのか』(KADOKAWA)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。記載内容は当時のものであり、また、投資の結果等に編集部は一切の責任を負いません。

 

 

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※本連載は、宮脇さき氏による著書『世界の新富裕層はなぜ「オルカン・S&P500」を買わないのか』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

世界の新富裕層はなぜ「オルカン・S&P500」を買わないのか

世界の新富裕層はなぜ「オルカン・S&P500」を買わないのか

宮脇 さき

KADOKAWA

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