撤廃されている中国内企業の「外貨保有制限」
Question 外貨経常口座内の外貨の保有・換金
外貨経常口座内の外貨の保有・換金外貨経常口座内の外貨に保有制限、強制換金制度はありますか。
Answer
●中国内企業(内外資)の外貨保有制限は撤廃されています。
●今では、企業のニーズに合わせて経常外貨口座内の外貨を保有することができます。また、人民元に換金することもできます。
過去には、外貨口座内の外貨については、一定の割合を除いて強制換金が義務づけられていた時期もありましたが、現在では、このような制限は撤廃されており、外貨収入の全額を外貨として保有することができます。
保有制限の撤廃は、2000年代に段階的に実施されたものですが、その概要は以下の通りです。
経常項目外貨を人民元口座に「振替える」ことも可能に
1.外貨口座開設と外貨保有に関するルールの明確化
「経常項目外貨口座管理政策を更に調整することに関する通知(匯発[2002]87号)」により、内資企業、外資企業の外貨口座開設と外貨保有のルールが統一されました。
また、その際に従来明確ではなかった外資企業の外貨保有限度額(所管の外貨管理局の裁量で限度額が決められていた)が、前年度の経常項目外貨収入の20%(前年度の実績がない場合は10万米ドル)と定められました。
2.その後の規制緩和
①「経常項目外貨口座の限度額の査定基準を調整する問題に関する通知(匯発[2004]23号)」が公布され、前年度の外貨収入額に占める外貨支出額の割合に応じて、外貨保有限度額が前年度経常外貨収入の30%または50%(寄贈・援助などの特殊な場合は全額)に引上げられた。
②「国内機構による経常項目外貨収入の残高規制緩和に関する問題に付いての通知(匯発[2005]58号)」により、外貨保有制限額が前年度経常外貨収入の50~100%に引上げられた。
③「経常項目の外貨管理政策を調整する事に関する通知(匯発[2006]19号)」により、外貨保有制限額が前年度経常外貨収入の80%と経常外貨支出の50%の合計額に引上げられた。
以上の経緯を経て、2007年に施行された、「国内機構が経常項目外貨収入を留保する事に関する通知(匯発[2007]49号)」により、外貨保有制限が撤廃され、全量の外貨を保有できるようになっています。
また、経常項目外貨は、企業のニーズにもとづき、随時、人民元へ換金することが認められますので、必要があれば換金のうえ、人民元口座に振替えることも可能です。
[関連法規]
日本語:経常項目外貨口座管理政策を更に調整することに関する通知(匯発[2002]87号)
中国語:关于进一步调整经常项目外汇账户管理政策有关问题的通知(汇发[2002]87号)
日本語:経常項目外貨口座の限度額の査定基準を調整する問題に関する通知(匯発[2004]23号)
中国語:关于调整经常项目外汇账户限额核定标准有关问题的通知(汇发[2004]23号)
日本語:国内機構による経常項目外貨収入の残高規制緩和に関する問題に付いての通知(匯発[2005]58号)
中国語:关于放宽境内机构保留经常项目外汇收入有关问题的通知(汇发[2005]58号)
日本語:経常項目の外貨管理政策を調整する事に関する通知(匯発[2006]19号)
中国語:国家外汇管理局关于调整经常项目外汇管理政策的通知(汇发[2006]19号)
日本語:国内機構が経常項目外貨収入を留保する事に関する通知(匯発[2007]49号)
中国語:国家外汇管理局关于境内机构自行保留经常项目外汇收入的通知(汇发[2007]49号)