都心マンションの価格高騰が止まらない……
2012年12月からの第2次安倍内閣によるアベノミクスと翌2013年4月より開始した日銀黒田総裁による異次元金融緩和以来、マンション価格はどんどん上がりました。その後のコロナショックのときからのさらなる日米欧をはじめとする財政出動、無制限の量的金融緩和政策により、日本だけではなく世界中の市場にマネーがあふれ、株式や不動産を中心とする資産価格は上昇し、その後も上昇を続けています。
株や不動産などの資産を保有する人たちはその資産額を大幅に増やし、海外からも投資マネーが入りました。タワーマンションをはじめとする都心のマンションは自らが住む層(実需層)だけではなく、日本の富裕層やアジアに代表される海外投資家たちからの投資対象となり、どんどん価格が上がり、まるで金融商品化されているような感じさえ受ける状況です。
1990年代バブルの頃、価格が1億円以上のマンションのことを「億ション」と呼んでいましたが、今や東京都心を中心に新築のみならず中古でも1億円(億ション)は普通になり、「2億ション」「3億ション」「5億ション」もどんどん登場し、「10億ション」「20億ション」などの2桁億ションもめずらしくなくなりました(もちろん1棟の価格ではなく1住戸の価格)。
・新築マンションの供給戸数は23年で3分の1以下に減っている
21首都圏の新築分譲マンション供給戸数は2000年に9万5,000戸を超えていたのですが、その後減り続け、2023年には約2万7,000戸と3分の1以下に減っています[図表2]。
・中古の成約件数はすでに新築の供給戸数を超えている
一方で、首都圏中古マンションの成約件数は、2000年に2万5,178件だったが、その後増え続け、とうとう新築の供給戸数を抜いて2016年に3万7,189件となりました。2016年以降も新築の供給戸数を上回った状況が続き、2023年には3万5,987件と2000年の1.4倍に増えています(東日本不動産流通機構による)。
・バブル期から今までの新築マンション価格動向を振り返ってみると
中古マンションの価格は、新築マンション価格動向からも影響を受けます。不動産経済研究所によると、2023年の東京23区の新築マンションの1住戸当たりの平均価格は1億1,483万円と前年を39.4%上回り、初めて1億円を超えました。
また、1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)の2023年の新築マンション1戸当たりの平均価格を見てみると8,101万円で、前年を価格で1,813万円、割合で28.8%上回り、左の折れ線グラフの通り、過去最高を更新しています。
バブル期(1990年)の最高平均価格6,123万円を2022年に超え6,288万円となって過去最高を記録し、2023年にはさらに上がり8,101万円となりました[図表3]。
後藤 一仁
株式会社フェスタコーポレーション
代表取締役

