「いくらで貸せるか?」を考える
低金利の現在、手元に現金があまり残らないほど無理をしてまで頭金を多く入れる必要はないでしょう。今後の生活のために、毎月支払える額や手元に残しておく金額を算出し、総合的に、頭金をいくら投入するのかを考えることがポイントです。
また、頭金の金額を決定するには、購入を検討しているマンションを貸した場合の賃料を調べ、「周辺の賃料相場」をベースに考えることも大切です。
そのうえで、その「想定賃料」が、「住宅ローン返済額+管理費・修繕積立金等の額+固定資産税等の月割分の合計額」を絶対に下回らないようにするためには、頭金をいくら入れなければならないか?
という視点からも考えます。
ちなみに賃料相場は、大きく変動することがある「価格相場」に比べ、多少の増減はあっても、街が再開発されたり新駅ができるなどの上昇要因がなければ、大きく変動することはあまりなく、金額の想定はしやすいと思います。
「いくらで売れるか?」を押さえておく
賃料の想定ができたら、「売るときはいくらで売れるのか?」についても見ておきたいところです。
しかし、売ったときの価格の想定は、とくに現在のようなマンション価格が上昇している状況では、過去の成約事例などがあまり参考にならない面もあるため、10年後、20年後などの価格想定は難しいといえます。
価格上昇期は、賃料の分析はしっかり行い、売却想定価格は堅実に考えるようにしましょう。検討しているマンションの資産価値が年数を経過しても保たれ、住宅ローン残高を下回ることがないような物件を選ぶことが重要です。もし、そこに少しでも不安があるようなら見送る判断も必要ですが、どうしても条件がよく、その物件を購入したい場合は、頭金の額を増やしてローン借入額を調整することが必要と思われます。
このように適正な頭金額は、一律に「2割」でもなければ、「なし」でもありません。その人の資金状況や資産状況、今後の収入の見通し、購入しようとしている物件のエリアの賃料相場や資産価値によって変わるものです。
後藤 一仁
株式会社フェスタコーポレーション
代表取締役
