高齢化が進む現代社会において、家庭内における介護問題は他人事ではありません。介護を自分で行う場合には、離職を検討する場合もあるでしょう。そこで、介護と離職はどのような関係にあるのか、専門家の視点からデータを見てみましょう。本記事では介護離職の観点からアプローチしてきた介護離職防止対策アドバイザー(R)、和氣美枝氏の著書『介護離職が頭をよぎったら整えたい 仕事・家庭・自分自身のこと』(翔泳社)から一部抜粋・編集し、介護離職のリアルをお届けします。
介護離職したらどうなりますか?
介護離職の多様なリスク
三菱UFJリサーチ&コンサルティングが行ったアンケート調査によると、「手助・介護」を機に仕事を辞めた場合、精神・肉体・経済いずれの面においても負担が増えることが明らかになっています。
仕事を辞めると、当然ながら経済的に不安定になります。また、経済的に余裕がなければ、介護サービスの利用などを控えるようになり、自らの身体を使って介護をするようになるので、肉体的な負担も増えます。加えて、こうした状況は精神的不安を助長することになります。
裏を返せば、「経済的に余裕があれば介護離職してもいい」かのように思えるかもしれません。確かに、お金があれば精神的負担や肉体的負担を解決できることもあります。
しかし、離職することによるデメリットは金銭だけではありません。離職して仕事との接点が希薄になることで、「社会人基礎力」の低下リスクがあるのです。
復職が難しくなる可能性も
社会人基礎力とは、「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」(経済産業省)です。人生100年時代の働き手は、業界等の特性に応じた能力(アプリ)と、社会人としての基盤能力(OS)を常にアップデートし続けていくことが求められます。
アップデートの場は必ずしも会社だけではありませんが、離職後の生活はアップデートの機会が限りなく減ります。ゆえに、離職期間が長くなれば、おのずと復職に支障が出る可能性があることに注意が必要なのです。
【12/18(木) 『モンゴル不動産セミナー』開催】
坪単価70万円は東南アジアの半額!! 都心で600万円台から購入可能な新築マンション
1971年生まれ。一般社団法人介護離職防止対策促進機構(KABS)代表理事、株式会社ワーク&ケアバランス研究所(WCB)代表取締役。介護離職防止対策アドバイザー(R)、国家資格 キャリアコンサルタント。レビー小体型認知症のある母親(80代)と暮らす、現役の働く介護者。『介護と言えば地域包括支援センター』を合言葉とした企業セミナー、介護者に寄り添う介護相談に定評あり。また「介護離職防止対策アドバイザー(R)」の養成や、関係省庁や経済団体等への政策提言などにも取り組んでいる。著書に『介護離職しない、させない』(毎日新聞出版)や『介護に直面した従業員に人事労務担当者ができるアドバイス』(第一法規株式会社)がある。
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載介護離職が頭をよぎったら整えたい 仕事・家庭・自分自身のこと