ずっと我慢してきた…息子の怒り
「小さい頃からずっと、うちはお金がないお金がないって言ってたよね。だから、欲しいものも我慢して、行きたい大学も諦めた。大学が変われば就職先だって違ってたかもしれない。妥協した大学に入って奨学金も借りて、今も返済してる。でも、お金あったんでしょ? 家を建て替える余裕があったなんて驚いたよ。子どもの幸せより自分優先だったんだね。だったら、老後も自分たちだけでやっていって」
初めて知った息子の静かな怒りに、伊東さんは言葉を失いました。
「まさか、そんな恨みを抱えていたなんて。驚きました」
節約は家族のため、無駄を避けるため、老後の備えのため。しかし、あの「お金がない」という口癖が、息子には我慢を強いる言葉として刻まれていたのです。
「いつも我慢を強いられた」「特別貧しいと思っていた」「大学も選べなかった」 そんな気持ちをずっと抱えたまま大人になったのだとしたら。
伊東さんは今、息子と必要最低限の連絡しかとっていません。孫ができたらと話すこともなくなりました。「もう、そういう距離感ではないんです」と寂しげに語ります。
老後資金に不安はない。 家もある。健康もまずまず。それなのに、むなしい。息子にも、寂しそうな妻にも申し訳ない……。そう肩を落とす伊東さんでした。
親の言葉が子どもの心に残すもの
家計については「子どもには何も言わない方がいい」「お金があると言わず、ないと言っておくべき」など、さまざまな意見があるでしょう。
一つ言えることは、子どもの教育資金に上限を設けることは、決して悪いことではないということです。無限に出せる家計は存在しません。背伸びして無理をして、親が老後破綻してしまったら本末転倒です。
伊東さんのケースにおける問題は、お金を出すかどうかではなく、「どう伝えるか」だったのではないでしょうか。何でも出してあげること=正解ではありません。しかし、我慢だけを教えてしまうと、子どもはその理由を見失ったまま育ってしまいます。
「うちは貧乏だからダメ」ではなく、「家の事情として、この選択がベストだと思っている」「応援したいけど、どうしても限界がある」 そう正直に、そして誠実に話していれば、結果は同じでも、気持ちは違ったのかもしれません。
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