今回は、優待還元率と実質利回りから最も有利な保有株式数を見極める方法をご紹介します。※本連載は、大和インベスター・リレーションズ株式会社(代表取締役社長・長谷川常雄氏)の著書『株主優待ガイド2017年度版』(ソシム)の中から一部を抜粋し、近年、ますます増える株主優待の基礎知識や最新事情をご紹介します。

全ての株主に一律の優待品(金額)が提供されるケース

今回は、「実質利回り」をシミュレーションの方法を見ていきます。

 

<A社のケース>

A社は、株主が何株保有していても一律3,000円相当の自社商品詰め合せを提供しています。また、年間予想配当金は、1株当たり20円です。1株=500円として100株、500株、1,000株買った時のそれぞれの「優待還元率」と「実質利回り」を比べてみましょう。


配当利回りは購入株式数によらず4.0%。優待還元率は100株で6.0%、500株で1.2%、1,000株で0.6%。実質利回りは100株で10.0%、500株で5.2%、1,000株で4.6%になります。従って、この中では優待還元率、実質利回りのいずれからみても100株の購入が最も資金効率が高いことが分かります。

 

注:計算を簡略にするため、手数料・税金は除外します。
注:計算を簡略にするため、手数料・税金は除外します。

 

保有する株式数に応じて株主優待の内容が変わるケース

<B社のケース>

B社は、100株で1,000円相当、500株で6,000円相当、1,000株以上は一律1万5,000円相当のクオ・カードを提供しています。年間予想配当金は1株当たり20円。1株=500円として100株、500株、1,000株買った時のそれぞれの「優待還元率」「実質利回り」を比べてみましょう。


配当利回りは4.0%で、優待還元率は100株で2.0%、500株で2.4%、1,000株で3.0%。実質利回りでは100株で6.0%、500株で6.4%、1,000株で7.0%になります。この結果、優待還元率、実質利回りのいずれからみても1,000株の購入が最も資金効率が高いということになります。

 
注:計算を簡略にするため、手数料・税金は除外します。
注:計算を簡略にするため、手数料・税金は除外します。

 

「実質利回り」は会社の業績や株価によって常に変化

上記の例の通り、「実質利回り」は優待品を金額換算した額や年間予想配当金、投資金額によって変わってしまい、確定しているわけではありません。あくまでも期待される利回りであることに注意が必要です。


例えば、配当金の金額は会社の業績によって変わる可能性があり、場合によっては予定されていた配当金が出ないことも考えられます。また、株価によっても実質利回りは変わってきます。利回りが高いにこしたことはありませんが、株価が急落して利回りが上がっているという場合もあります。


従って、業績をはじめとした財務内容をしっかりチェックすることが大切です。また、優待品に人気のある銘柄は「優待の権利確定日」前に株価が上がりやすくなり、逆に「優待の権利確定日」の翌日(権利落ち日)に株価が下がる傾向があることも覚えておきましょう。

 

<本書『株主優待ガイド』のここを活用! !>

本書のP281からの「株主優待実施企業一覧」に各社の2016年9月末の株価が掲載されていますので、優待還元率のシミュレーションを行うことが可能です。


P70からの「優待積極企業ライブラリー」のページでは、104社のシミュレーションに必要なデータが、右ページ中段に掲載されています。実際の株価に基づいて検討を行いたい場合は、確認時点の株価・配当金に置き換えて計算してみて下さい。


※実際に購入する場合には、株式委託手数料がかかります。

※2016年9月末現在の公表情報他をベースとして編集・掲載しております。内容が変更になっている場合がありますので、最新の情報についてはご自身でご確認をお願い致します。

株主優待ガイド 2017年版

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大和インベスター・リレーションズ

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