今回は、多様化する株主のニーズで進化を遂げる、株主優待の昨今事情について見ていきます。※本連載は、大和インベスター・リレーションズ株式会社(代表取締役社長・長谷川常雄氏)の著書『株主優待ガイド2017年度版』(ソシム)の中から一部を抜粋し、近年、ますます増える株主優待の基礎知識や最新事情をご紹介します。

保有数・保有期間で差を設け、株主のメリットを向上

もっとも典型的な株主優待制度は、一定以上の株式を保有する株主に、一律に同等の優待品を提供するものです。例えば、「全株主に自社商品3,000円相当を進呈」といった内容のものです。しかし、近年、株主優待は株主のニーズの多様化を背景に様々な進化を遂げています。


優待の内容を単一の製品やサービスに限定せず、複数の品目の中から選ぶ「選択型」の優待制度を導入している企業は従来より多数ありました。最近では、「対象の店舗が近くにないため、せっかくの買物券や食事(割引)券が使えない」という株主の意見に対応して、これらを飲食料品の詰合せやクオ・カード等との交換可能とすることによって、利便性の向上を図るケースも見られます。

 

【図表1 選択制の有無】

n=1,307
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2016年9月末現在


また、「多くの株式を保有している人には、より充実した優待を」ということで、保有株式数に応じて優待の内容に差をつけている企業も増加しています。

 

【図表2 保有株式数による条件の有無】

n=1,307
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2016年9月末現在


加えて最近では、保有期間に応じて差をつける長期保有優遇型の優待を導入する企業数が増加傾向になっています。「3年以上保有していただいている株主には割引券を2倍進呈します」といった内容のもので、「長期保有してくれる株主づくり」を鮮明に打ち出したスタイルです。2016年は、 256社と昨年よりプラス81社と増加しており、なかには、一定期間保有しないと優待が受けられないという企業も45社あります。2013年までは、導入企業は100社に満たない状況でしたが、2016年には250社を超え、株主優待実施企業に占める導入率も20%に迫る勢いとなっています。

 

【図表3 保有期間における条件の有無】

n=1,307
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2016年9月末現在

 

【図表4 保有期間による条件がある株主優待実施企業数と導入率の推移】

※株主優待実施企業に占める導入割合
※株主優待実施企業に占める導入割合
2016年9月末現在

優待実施企業の「予想配当利回りランキング」

企業による株主還元策として、株主優待と並んで配当があげられますが、優待を実施し、かつ高配当を行っている企業を対象にランキングで発表します。

 

このランキングは2016年9月末時点で公表されている配当予想によるもので、今後の企業業績あるいは株価水準により変動しますので、あくまでもご参考としてご利用ください。

 

(2016年9月末現在)
大和IR調べ
2016年9月末時点における各社公表の今期予想値にて算出。ただし、配当予想を公表していない企業、株式分割、株式併合を行っている企業およびREITは除く。
またレンジ形式で公表している企業については、下限値を用いて算出している。
(2016年9月末現在) 大和IR調べ
2016年9月末時点における各社公表の今期予想値にて算出。ただし、配当予想を公表していない企業、株式分割、株式併合を行っている企業およびREITは除く。 またレンジ形式で公表している企業については、下限値を用いて算出している。

※2016年9月末現在の公表情報他をベースとして編集・掲載しております。内容が変更になっている場合がありますので、最新の情報についてはご自身でご確認をお願い致します。
※文中のページ番号は本書籍『株主優待ガイド2017年版』のものです。

株主優待ガイド 2017年版

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