制度改定で子育て・現役世代の負担はさらに増える
これは持論ですが、私のように、現役引退、というほどではないけれど、子育てに関しては手が離れた世代であれば、ある程度資産も貯まってきているという想定が立ちます。まだ負担が多くてもなんとかなるのですが、この制度改定で負担が重くなるのは、子育て世代、現役世代の人々です。
子育て世代、現役世代の人が、もしも病気になってしまい、その前年の収入が1,000万円を超えていたばかりに、毎月約30~40万円まで自己負担しろ、といわれてしまうと、治療を受けるにも躊躇してしまうのではないかと思います。金銭的負担を理由に治療を諦める、ということがあってはなりません。
こうしたことを鑑みると、国は、現役世代に対して少し配慮すべきだろうと思います。私自身が40~50代の頃を思い返してみても、当時は子育てにお金がかかり、貯金はほぼ無いような状況でした。
もし、そういった状況で病気になってしまい、高い保険料を払っていたにもかかわらず、高額療養費の限度額が数十万だったら「それは払えないだろう」と思ってしまいます。現役世代や子育て世代、つまり30代後半~50代半ばぐらいまでの世代の人たちにとって、今回の高額療養費制度改定は本当に厳しいものだと思います。
また、高額療養費制度以外で現役世代に厳しく、在宅医療にもかかわる制度として、介護保険が挙げられます。介護保険は、40歳以上65歳未満の人の場合、末期がんなど16種類の特定疾病の場合は適用となりますが、それ以外の病気にかかった場合は適用されません。40歳未満の人はそもそも対象外です。
これは、介護保険制度が「加齢に伴う病気や状態」を対象としているためです。40~65歳未満の方の場合、加齢以外の病気による介護ニーズは、医療保険制度や他の福祉制度で対応することを想定しています。 こういったことからも、30代後半~65歳までの世代への保障が足りていないな、というのが、現行の社会保障制度に対して私の感じているところです。
在宅医療を提供するということは、社会の仕組みも理解しながら行う必要があるため、このような制度にも十分精通している必要があります。
(参考:介護保険制度の概要|厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/gaiyo/index.html)
野末 睦
医師
医療法人 あい友会 理事長
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