健康経営度調査2025の結果
プレコンセプションケアの認知度は5割超⁉
経済産業省「第1回健康経営推進検討会」資料によると3、健康経営度調査(大規模法人部門)2025の回答数は、3,869件と前年比10%の増加であり、健康経営優良法人(大規模法人部門)の認定数は3,400件と前年比約14%の増加であることが報告された。
3,869件の大規模法人部門を対象としたアンケートの結果、「プレコンセプションケアについて知っていますか。」に対して、「内容を知っている」と回答した企業は全体の27.6%にのぼり、「内容は知らないが聞いたことはある」の24.6%と合わせて、認知度は52.2%に達することが明らかとなった。
また、「内容を知っている」と回答した1,069件の企業のうち、「プレコンセプションケアについて、健康経営の一環として取組みを実施していますか。」に対して、「実施している」と回答した企業は、30.3%という結果が明らかとなった。
対象の限定を是正し、健康経営の一環である認識が重要
健康経営の一環として、プレコンセプションケアについて何らかの取組みを実施していると回答した企業の回答事例をあげると、「年齢性別問わず全職員を対象にプレコンセプションケアの研修や動画配信」、「新規採用職員研修でプレコンセプションケアについて講義」、「風しん梅毒などの感染症講話」など、セミナーや勉強会を開催している事例が目立つ。また、プレコンノートの配布や子宮頸がんワクチンの推奨など、既存の情報シートやチラシ等を活用して情報提供している事例も多かった。
一方で、経済産業省の第1回健康経営推進検討会では、取組みの対象を女性だけに限定している法人の事例が多数を占める点について指摘がなされており、筆者が基礎研レポート「プレコンセプションケア男性こそ必要なワケ」4でも言及した通り、男女双方に対し健康に影響を与えるホルモン変動や疾患リスクなどについて知識教示する必要がある。ただし、筆者が先行事例企業にヒアリングした際には、女性のホルモン変動や更年期障害に対する理解を深めるために男性からは発言しにくいと言った意見も散見されたため、オンラインによる開催や匿名による意見交換・集約など工夫は必要である。
また、新人研修でセミナーを展開している事例も目立つが、更年期障害や疾患発症リスクを考慮すると管理職期にあたる従業員を対象とした研修なども重要な対象となるため、若年者を対象とするプレコンセプションケアの概念を契機に、徐々に取り組む対象(範囲)を拡大していく必要もあるだろう。
尚、健康経営度調査2025のクロス分析の結果をみると5、プレコンセプションケアに関して内容を知っている企業は、健康経営度調査の評価が上位20%以内に該当するものが54.7%を占めており、健康経営銘柄の選定企業であるものが73.6%、健康経営優良法人のホワイト500に選定されているものが60.5%を占める結果が示されており、プレコンセプションケアにまで配慮ができる企業は健康経営に関する全体の取組み評価も高い傾向が見受けられる。プレコンセプションケアに関する取り組みは、単なる女性の健康課題の改善に留まらず、企業の長期的なブランド価値を維持する上でも重要な役割を果たすと言えよう。
3 経済産業省 第1回健康経営推進検討会(2024年12月19日)
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/001.html
4 乾愛 基礎研レポート「プレコンセプションケア男性こそ必要なワケ」(2025年3月25日)
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=81428?site=nli
5 経済産業省 健康経営度調査結果集計データ(平成26年~令和6年度)
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenko_keiei.html
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