(※写真はイメージです/PIXTA)

「億り人」ブームの熱狂の陰で、コインチェックで発生した大規模流出事件は、暗号資産への不信感を募らせ、「やっぱり危ない」「怪しい」というレッテルを貼るきっかけとなりました。しかし、その冬の時代を乗り越え、暗号資産はいま、まったく異なるステージへと進化を遂げています。本記事では、小田玄紀氏の著書『デジタル資産とWeb3』(アスコム)より、暗号資産の現状について解説します。

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暗号資産はやっぱり危ない?

暗号資産ブームは再び一気に終息します。流出事件が相次いだためです。

 

2018年1月には仮想通貨取引所のコインチェックが外部からハッキング攻撃を受け、580億円相当の仮想通貨「NEM(ネム)」が流出する事件が発生しました。

 

2019年7月には、私が立ち上げた仮想通貨取引所のビットポイントジャパンでも約30億円の仮想通貨流出事件が発生してしまいました。原因としては、保守用サーバがハッキングされ不正侵入された可能性が高いと考えられました。ビットポイントジャパンは事件後、流出した顧客預かりの暗号資産について、すべて払戻しに応じるとともに、以後はコールドウォレット(オフラインでの管理)で保管する体制に移行し約半年後にサービスを全面再開しました。

 

このような事件が続き、日本では暗号資産の相場が低迷、冬の時代を迎えました。一時は「億り人」ブームで大騒ぎだったのですが、一転して流出、盗難、急落といったネガティブワードが飛び交うようになり、当然、「やっぱり危ない」「怪しい」というムードに染まっていきました。

 

そもそも、なぜ暗号資産が流出してしまうのかというと、取引所のセキュリティが破られたからです。事件が起きると暗号資産のシステムが脆弱であるかのような印象を持つ人も少なくないのですが、実際は暗号資産自体は堅牢で、取引所の問題なのです。現金に例えるなら、偽札をつくられたりしているのではなく、金庫が開けられてしまったようなものです。

 

ここは大きな違いなのですが、結果として流出しているのですから、利用者からすると「暗号資産は安心して持てない」と思われても仕方がありません。しかしながら現在は、暗号資産のほぼすべてがコールドウォレットで保管されており、ハッキング被害のリスクが格段に小さくなったことは知っておいていただきたい事実です。

 

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※本連載は、小田 玄紀氏の著書『デジタル資産とWeb3』(アスコム)より一部を抜粋・再編集したものです。

デジタル資産とWeb3

デジタル資産とWeb3

小田 玄紀

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