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出社かリモートワークか…上司世代も揺れている
大学時代をほぼオンライン授業で過ごしたZ世代にとって、朝の通勤ラッシュは「未知の負荷」であり、「想像以上のストレス」と感じるのも無理はありません。採用時に「出社も大丈夫です」と答えたのも、おそらく実感が伴っていなかったのでしょう。社会人生活の入り口で大きな壁にぶつかった彼の決断は、ある意味でとても現代的と考えればいいでしょうか。
コロナ禍でリモートワークが当たり前になったものの、昨今の企業側の動きはというと、むしろ出社回帰の流れが強まっています。国土交通省『令和5年度 テレワーク人口実態調査』によると直近1年間のテレワークの実施率は、首都圏で28.0%、前年から2.6ポイントの減少、さらに一昨年からは8.2ポイントの低下となっています。
出社回帰の流れが強くなっている背景には、リモートワークによるチームの一体感の希薄化や、若手社員の育成不足への懸念などがあるとされます。しかし、その戻しすぎが、かえって新たな問題を生んでいる可能性も否めません。
株式会社識学が実施した調査結果によると、新卒を含む若手社員に「あなたは出社での勤務と、リモートでの勤務とではどちらがよいですか」と尋ねたところ、出社派は52.0%、リモートワーク派は48.0%と、出社とリモートワークは拮抗。新卒社員にとって最初の社会経験となる通勤やオフィス環境が、「ここには居続けられない」と思わせるものだった場合、その印象は長く尾を引くことになります。早々に退職という決断をする新卒社員がいても不思議ではありません。
ちなみに上司側は58.7%と、やや出社派が多いという結果。ベテラン勢であっても、「テレワークがよかった……」と思っている人が4割もいるという実態は、今後の人事戦略を練るうえでも考慮すべきことといえそうです。
「本当に惜しい人材でした。本人も仕事への意欲はあったと思います。ただひとりだけリモートワークや時差出勤を認めるわけにはいきませんから……難しい問題ですね」
[参考資料]
総務省『令和3年社会生活基本調査』