(※写真はイメージです/PIXTA)

富裕層たちの間ではいま、海外へ資産配分を行う流れができていますが、そのようななか、選択肢として挙がっているのがUAE・ドバイです。どのような強みがあるのでしょうか。世界をフィールドに活躍する弁護士・森和孝氏が、ドバイの最新事情を解説します。

多様な人材の流入、急速に増加するUAEの人口

UAEの人口は急速に増加しており、2010年の約680万人から2023年には約1,000万人に達しました。とくにドバイの人口は、2010年の約190万人から2025年には約375万人に拡大し、年率5〜10%という驚異的な成長を続けています。

 

この人口増加は主に海外からの人材流入によるもので、世界各国から多様な専門人材やビジネスパーソンが集まっています。

 

出典:■■■■■
[図表]ドバイの人口推移(1950-2025年)(複数データをもとに筆者作成)

 

ドバイの人口は2040年には580万人を確実に超え、700万人を上回る可能性もあると予測されており、日本の人口減少とは対照的な人口動態を示しています。この人口増加は消費市場の拡大、不動産需要の増加、人的資本の充実など、経済成長の重要な原動力となっています。

財政の健全性と石油依存からの脱却

UAEの公的債務はGDP比約32%(2023年)と、日本の214%と比較して極めて健全な水準を維持しています。財政黒字を継続しており、政府系ファンド等を通じた戦略的投資により、石油依存からの経済多角化を着実に進めています。

 

ドバイではとくに、観光、不動産、金融サービス、物流など非石油セクターの成長が顕著で、経済の約75%を非石油部門が占めるまでに多角化が進んでいます。アブダビ首長国のADNOC(アブダビ国営石油会社)やMubadala投資会社などを通じた戦略的投資により、再生可能エネルギー、先端技術、医療、教育などの分野への投資も拡大しています。

 

ドバイ首長国は中東産油国のなかでも経済の多角化が特に進んでおり、GDPに占める石油収入はわずか1%未満とされています。実際、95%以上が非石油セクターからの収入で、観光業だけでもGDPの約12%を占めます。

 

UAEの公式経済統計によれば、国全体でも石油関連収入の割合は30%未満に低下しており、IMF国別レポート(2023年)によると、UAEの非石油部門の成長率は年間約4.5%と堅調です。観光業、金融サービス、物流、テクノロジーなど多様なセクターが経済を支えており、この多角化された経済構造が長期的な安定性をもたらしています。

高い経済成長率と生産性

IMFの予測によれば、UAEの実質GDP成長率は2025年に約4.0%、2026年に約4.2%と見込まれており、日本の0.8%を大きく上回っています。過去10年間の平均成長率も3〜4%台を維持しており、先進国の中では高い水準を示しています。

 

労働生産性においても、UAEは継続的な改善を見せており、最新技術の導入やデジタル化の推進、効率的な行政プロセスなどにより、ビジネス環境の競争力を高めています。世界銀行のビジネス環境ランキングでも常に上位に位置しており、起業や事業運営のしやすさが評価されています。

 

2025年の段階で、ドバイには世界の大手金融機関や多国籍企業の中東拠点が集積し、起業家やテクノロジー企業も増加しています。最近ではAI分野への投資も活発化しており、多様な成長機会を提供しています。

通貨安定性と為替リスクヘッジ

ドバイが選ばれる理由の一つに、通貨の安定性があります。UAEディルハムは1ドル=3.6725ディルハムで米ドルにペッグ(固定)されており、この為替レートは1997年から現在まで一貫して維持されています。UAE中央銀行総裁も「固定相場制(ドルペッグ)を今後も維持する」と公式に表明しており、将来にわたる通貨安定性が期待できます。

 

過去10年間のUAEディルハムの対ドル変動率は0.5%未満であり、同期間の円の対ドル変動率約42~50%下落と比較すると、その安定性は際立っています。円安進行によって国際的な購買力が低下している日本の富裕層にとって、ドルにペッグされたディルハム建て資産の保有は、有効な為替リスクヘッジとなります。

自然災害リスクの低さと堅固なインフラ

UAEは世界で最も自然災害リスクの低い国のひとつです。さまざまな調査機関の災害リスク評価でも、世界有数の安全性を認められています。

 

さらに、UAEは最新技術を取り入れた堅固なインフラ整備を積極的に進めており、とくにドバイは世界最高水準の道路、通信、電力、水道などのインフラを有しています。これらのインフラは、事業運営の安定性や生活の質を高める重要な要素となっています。

 

そんなドバイにおいても、昨年4月に発生した記録的な豪雨によって洪水が発生し、一部市街地が機能停止に陥ったことがありました。しかしドバイ政府は、その対策として即座に約1兆2,800億円を投じ、ドバイ全土をカバーする排水ネットワークを10年計画で整備を開始しています。このような災害対策への政府の徹底した姿勢も、世界中から投資を惹きつける要因になっています。

国際ハブとしての地理的優位性

ドバイは地理的にヨーロッパ、アジア、アフリカの中間に位置し、世界人口の約3分の2が飛行時間8時間圏内にあるという地理的優位性を活かし、国際ビジネスと観光のハブとしての地位を確立しています。ドバイ国際空港は世界最大級の国際空港であり、ドバイの港湾施設も国際貿易の重要な結節点となっています。

 

この地理的優位性とインフラの充実により、多国籍企業の地域統括拠点や国際的な富裕層の拠点として選ばれる大きな要因となっています。投資家にとっては、アジア、中東、アフリカ、ヨーロッパへのアクセスが容易であり、新興市場への投資機会を捉えやすい環境が整っています。

政治的安定性の高評価

世界銀行の政治的安定性指標(Political Stability Index)によれば、UAEはG20諸国平均を20%以上上回っており、エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)の国家リスク評価においても、UAEは中東・北アフリカ地域で最も低リスク国の一つとして評価されています。

 

この政治的安定性の高さが、地政学的リスクが高まる世界情勢において、富裕層にとって魅力的な避難先となっているのです。実際、世界各国の政治的混乱や経済的不確実性が高まるなか、UAEの安定した統治システムは投資家に安心感を与えています。

 

 

森 和孝
Eminence Luxe(ドバイ不動産仲介会社)Founder/CEO
One Asia Lawyers 国際弁護士(UAE法、シンガポール外国法、日本法)

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