(※写真はイメージです/PIXTA)
返済期間50年の住宅ローンをシミュレーション
まず、Aさんの息子さんの住宅ローンは次のとおりです。
借入額:4,000万円(返済期間50年、金利0.5% 元利均等返済、ボーナス返済なし、変動金利型)
毎月の返済額:7万5,361円
息子さんの世帯年収は600万円。たしかに毎月の返済額だけをみると、無理のないローン返済のように思えますね。ですが、4,000万円の借り入れとなるとかなり大きな金額です。大きな金額を借りるためには、毎月の返済額を抑える必要があります。そのために「金利はできるだけ低く、返済期間はできるだけ長く」する結果になってしまうのです。ですから、Aさんの息子さんも変動金利型の50年ローンを選択されたのでしょう。
支払利息総額の差…35年ローンとの比較
一方でローンが長期化すれば、利息の総額も大きくなります。筆者は毎月の返済額だけでなく、支払う利息の総額も確認してもらうようにしています。ちなみに、金利0.5%が50年続いた場合の35年ローンとの比較は次のとおりです。
●50年ローンの場合 毎月の返済額: 7万5,361円 支払利息総額:521万6,406円
●35年ローンの場合 毎月の返済額:10万3,834円 支払利息総額:361万343円
160万円を超える差が出てきました。
65歳時点でのローン残高の差…35年ローンとの比較
そして、次に大事なのは老後の負担です。65歳時点でローンがどのくらい残っているかをみると、
●50年ローンの場合 ローン残高:約1,223万円
●35年ローンの場合 (29歳で返済開始)64歳で完済となるため、ローン残高は0円
50年ローンでは65歳の時点で1,000万円を超えるローンが残ってしまうことがわかります。近年は物価上昇で繰上げ返済に苦戦しているご家庭も多いですが、計画的な繰上げ返済で老後の負担を軽くしていく必要があります。
5年ごとに0.5%ずつ金利が上昇すると…
それでは、金利が上昇していった場合をシミュレーションしてみましょう。金利の上昇は正確に予測できるものではありませんが、5年ごとに0.5%ずつ上昇すると仮定して計算してみます。なお、30年後以降は3.5%を上限としています。
●ローン開始~5年間 金利0.5% 毎月の返済額: 7万5,361円
●5年後~5年間 金利1.0% 毎月の返済額: 8万3,815円
●10年後~5年間 金利1.5% 毎月の返済額: 9万1,876円
●15年後~5年間 金利2.0% 毎月の返済額: 9万9,401円
●20年後~5年間 金利2.5% 毎月の返済額:10万6,259円
●25年後~5年間 金利3.0% 毎月の返済額:11万2,321円
●30年後~20年間 金利3.5% 毎月の返済額:11万7,458円
30年後というと、Aさんの息子さんも60代になろうという時です。そのころは現在よりも毎月の返済額は4万円以上も増えてしまうのです。さらに子どもを望んでいる場合、教育費がかかる時期の返済額もチェックしておく必要があります。