親子関係が、お金の問題一つで音を立てて崩れることがあります。特に、親が資産を持っている、あるいは「裕福そうにみえる」場合、成人した子どもからの経済的な依存は、外からはみえない深刻な家庭内トラブルに発展しがちです。本記事では、FPの川淵ゆかり氏のもとへ寄せられた相談事例をもとに、孫への経済援助を巡る、自分の老後を守るための境界線の引き方を考えます。※事例は、プライバシーのため一部脚色して記事化したものです。
「親子でも、さすがに許せない」遺族年金の中高齢寡婦加算が終わり、年金10万円になった65歳母…月収50万円・40歳長男の〈まさかの発言〉に腸が煮えくり返り、LINEで絶縁【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

意外と多い親子の絶縁…外からみえない苦境

コーネル大学ワイル医科大学院のカール・ピルマー教授の著書『Fault Lines:Fractured Families and How to Mend Them』によると、アメリカではなんと10%もの母親が成人した子と疎遠になっていると報告されています。これは、親から子への絶縁、またはそれに近い状態が意外にも多く存在することを示唆しています。この事実は、日本に住む私たちにとっても他人事ではありません。

 

家庭内の問題は外部からはみえにくいものです。一見「理想的な家族」にみえても、内情は地獄のような親子関係であることも少なくないかもしれませんね。

 

夫亡きあと、慎ましくも穏やかな暮らしを守る65歳女性

Aさんは地方在住の65歳の女性です。会社員だった夫を10年前に亡くし、これまで遺族厚生年金に中高齢寡婦加算が上乗せされていましたが、65歳になるとこの加算が終了します。その代わり、自分自身の老齢基礎年金の受給が始まるため、手取りはわずかに増え、月にすると合計で10万円を少し超える程度の計算です。Aさんの65歳前後での年金受給は次のとおりになります。

 

65歳前:遺族厚生年金+中高齢寡婦加算

65歳後:遺族厚生年金+老齢基礎年金(+老齢厚生年金があれば併給調整)

 

ずっと専業主婦だったAさんでしたが、生きがいや将来への備えを考えて、高校時代の友達が経営する小さな飲食店でアルバイト勤めを始めました。ときどき夫との生活を懐かしみながら静かに暮らす日々。Aさん自身、この穏やかな生活を気に入っています。

 

亡くなった夫は出世欲もなく、ただ真面目なサラリーマンでしたが、もともと地主の家で育ちました。そのため、暮らしに不自由することはありませんでしたし、住まいも立派で、周りからは裕福な家庭だと思われていました。しかし実情は、土地はあっても手元の預貯金は人並みといったところです。