(※写真はイメージです/PIXTA)
高齢者を襲う物価高
Aさん夫婦は同い年の65歳。月約25万円の年金を受け取る年金生活者となりました。住宅ローンを完済している築30年の戸建ては退職金でリフォーム済み。一人娘も7年前に嫁に出したため、夫婦2人でのんびりと暮らしていました。
営業職でハードな仕事をしていたAさんは、定年退職後は仕事を続けるつもりもなく、特に贅沢をしなければなんとか老後も暮らし続けられるだろうと考えていました。
しかし、予想もしなかったここ数年の物価高が家計を直撃します。一人娘には6歳の男の子がいて、Aさんにとっては目に入れても痛くないほどかわいい孫ですが、以前に比べてなんでも買ってあげることはできなくなりました。
妻も買い物から帰ってくるたびに「〇〇がまた高くなったわ!」「〇〇なんてもう買えないわよ!」と愚痴をこぼす状態です。そのため、Aさんは散歩の帰りに寄っていた喫茶店にいくのを控えたり、友達と居酒屋に行くにも妻に気を遣ったりする日々が続いていました。
実家を託児所代わりにする娘
そんな折、変化が起きます。33歳になるAさんの一人娘は、小売店に勤める3歳年上の夫と長男の3人で郊外の賃貸マンションに住んでいます。以前は、月に1回ほど週末に親子3人で遊びに来ていたのですが、昨年あたりから子どもと2人でしょっちゅう実家へ顔を出すようになったのです。
最初は孫の顔がみられることに喜んでいたAさん夫婦ですが、来るたびにお菓子や食事の用意をすることになり、妻の苛立ちは目にみえて募っていきました。しかも孫は元気盛り。リフォームしたての家を走り回り、障子は破くわ、壁に落書きするわで手に負えない暴れん坊です。娘がちゃんとみていてくれればいいのですが、やれ買い物だ、やれ友達と会う、だのといって、孫を預けてすぐに出かけてしまう始末。
先日などは、置いていった孫と遊んでいるAさんに、孫が「来年小学校なの。ランドセル買って」「じいじ、自転車買って」などというので、動揺してしまいました。無邪気なおねだりですが、いまのAさん夫婦には重い言葉です。妻は2人が帰ったあとに怒りをあらわにしました。
「あれは娘がいわせているのよ。絶対そうよ! あなたが一人娘だからって甘やかしてきたせいよ!」