デフレ政策がもたらす変化
一方、中央銀行がデフレ政策(引き締め的な公開市場操作)を実施し、証券を売却することで銀行のルピー準備を吸収すれば、流入する外貨が過剰となり、為替レートは上昇圧力を受ける。
これにより、中央銀行は外貨準備を積み増し、政府は債務返済を円滑に進めることができる。実際、2024年9月頃までの期間において、中央銀行はおおむねデフレ政策を採用していた。
しかし、2024年12月には、印刷された資金による信用供与の増加により、輸入が危機的な水準に達した。
経済学の視点
西欧において古典派経済学が登場する以前、重商主義者たちは金(外貨準備)の流出というかたちで、輸入が通貨安や国際収支の赤字を引き起こすと非難していた。
1809年、自由貿易を擁護する理論を唱えたイギリスの経済学者であるデヴィッド・リカードは、「輸出よりも多くの商品を輸入するべきではない。ただし、通貨の供給が過剰であり、その一部を輸出することが適切である場合を除く」と述べた。これが最終的に英国議会の行動につながり、イングランド銀行への規制が強化された。
リカードは、「貨幣の輸出はその安さによって引き起こされるものであり、不利な貿易収支の結果ではなく、その原因である」とも指摘した。この考えは、過剰な通貨供給が貿易赤字を引き起こすという現代の理論とも一致する。
新重商主義の復活
今日、ケンブリッジ大学やアメリカの主要大学では、貿易赤字や経常収支赤字と、政策金利の関係が議論されている。これに対し、批判者はこれを新重商主義(Neo-Mercantilism)と呼ぶ。
リカードはまた、「金利は通貨の供給量によって決まるのではなく、資本の供給量によって決まる」と指摘した。
現在のスリランカでは、自動車輸入が外貨準備の減少を引き起こすと考えられている。しかし、リカードの時代には、穀物輸入が貨幣の不安定をもたらすと考えられていたが、彼はそれが誤りであると論じた。
貨幣の減価についての誤解により、財務省は貿易規制や外為規制を強化し、財政政策を貨幣政策の支配下に置くようになっている。しかし、本来であれば、中央銀行の流動性操作こそが問題の本質である。
スリランカ政府は海外からの借入れも可能である。プロジェクト向け融資で道路や空港を建設する場合、鋼材などの建設資材の輸入が増加し、プロジェクト労働者の支出も増える。
しかし、資本予算の支出は、中央銀行の信用供給によって賄われない限り、外貨準備の減少や通貨安を引き起こすことはない。国内で資本支出を賄う場合は、市場金利の上昇を通じて民間の信用需要を抑制するため、外貨準備の減少も発生しない。
さらに、外国からの予算支援融資は、債務返済に充当できるため、純債務の増加を引き起こすことはない。
同様に、政府は国債を発行して得た資金でプロジェクトのルピー建て経費を賄い、ドルを債務返済のために温存することも可能である。
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