「ロシアがウクライナを侵略した」…言葉に隠された意味とは?
2022年から始まった、ウクライナとロシアの間の戦争。2024年現在、この戦争は終結していません。依然として終わりに向かう気配が一向になく、予断を許さない状況にあると言えます。そんなウクライナとロシアの戦争に関するニュースで、こんな言葉が使われていました。
「国際連合は、ロシアがウクライナを侵略したことについて……」
たったこれだけの言葉ですが、実は国連がこの戦争をどのように捉えているのかがここに表れているのです。
領土や首都の攻め合い・奪い合いに関する表現として、「侵略」と「侵攻」という2つの言葉があります。英語で言うと、侵略が「aggression」で、侵攻が「invasion」ですね。漢字にすると「侵」が同じ言葉なので、「侵略」も「侵攻」も同じようなものでしょ?と感じてしまう人がいますが、実は意味が少し違うのです。ご存知でしたか?
「侵攻」は、単に相手の領土に攻め込むことを指す言葉です。それに対して、「侵略」の方は、相手の政治的な独立や主権を「侵す」という意味になります。
侵攻は「ただ相手側に攻め込んだ」という行為そのものを指す中立的な言葉なのですが、侵略は侵略した側に非があると判断した場合に使う言葉だということです。要するに、「侵略」を選んで使ったということは、国連がロシアを非難しているということなのです(これは国連による1974年の侵略の定義に関する決議を基にしています)。
ウクライナの問題について、最初は、国連は「ロシアがウクライナを侵攻した」というように、「侵攻」という言葉を使っていました。でもある時期から、「ロシアによるウクライナの侵略である」という言い方がされるようになりました。これはおそらく、事実確認をして協議し、「ロシアの侵攻には正当性がない」と判断したから、「侵略」という言葉を選ぶようになったと考えられます。
侵略という言葉は国際政治上重い意味合いを持っており、それでも「侵略」を使っているということは、今回のウクライナ戦争に対して、国連はロシアに対し非難する立場を取っていることがわかります。
言葉の選び方ひとつで、伝えたいニュアンスを大きく変えられる場合があります。逆に何気なく言葉を選んでも、他の人から「この言葉を選んだということは、こういうニュアンスなのかな」と解釈されてしまう場合もあるでしょう。
Point
・同じような意味の言葉でも、どれを選ぶかで、ニュアンスが変わることがある
・「侵攻」は、「ただ相手側に攻め込んだ」という行為そのものを指す中立的な言葉
・「侵略」は攻め込んだ側に非があると判断した場合に使う言葉で、非難するニュアンスがある
西岡 壱誠
株式会社カルぺ・ディエム
代表
注目のセミナー情報
【海外不動産】12月18日(木)開催
【モンゴル不動産セミナー】
坪単価70万円は東南アジアの半額!!
世界屈指レアアース産出国の都心で600万円台から購入可能な新築マンション
【事業投資】12月20日(土)開催
東京・門前仲町、誰もが知る「超大手ホテルグループ」1階に出店!
飲食店の「プチオーナー」になる…初心者も参加可能な、飲食店経営ビジネスの新しいカタチとは?
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
