子どもが生まれたら教育資金の準備を始める必要があります。どれぐらい用意すべきかという金額感については、「大学進学まで」を想定するケースが多いのではないでしょうか。しかし、子どもがその先の就学を希望する可能性も少なくありません。詳しく見ていきましょう。

大学進学までの費用では足りないことも…教育費のリアル

子育ての中でも一番大きな割合を占めるのが教育費。実際にどれぐらいかかるのでしょうか。

 

教育資金の目安について、文部科学省の「令和3年度子供の学習費用調査」などを基にした日本政策金融公庫のシミュレーションを見ると、幼稚園から大学まですべて公立の場合で822.5万円。すべて私立の場合は2307.5万円となっています。

 

実際には、高校までは公立を選ぶ人が多いでしょう。一方、大学は7割以上が私立に進学すると言われており、入学費用や授業料の準備は必須です。

 

また、文系より理系のほうが学費は高額になるので、子どもの進みたい道によって差があることや、ひとり暮らしが必要であれば、さらに仕送りも必要だということも念頭に置いておかなければなりません。

 

さらに、その続きがあるケースがあります。大学院への進学です。

 

文部科学省「令和5年度学校基本調査」によると、大学(学部)卒業者に占める就職者の割合は75.9%で、進学率は12.52%、さらに修士課程を終えた人の就職者の割合は77.4%、進学率は10.1%となっています。

 

つまり、大学を卒業した人のうち1割強が、さらなる修学のため修士課程へ。そこからさらに1割程度の人が博士課程にも進むということがわかります。

 

では、修士課程に進んだ場合、いくらぐらい費用がかかるのでしょうか。文部科学省の令和5年度「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果」に基づいたデータが以下になります。

 

【私立大学大学院 修士課程 初年度費用】
・授業料:79万8,465円
・入学料:20万1,752円
・施設設備費:7万5,589円
・実験実習料・その他:5万8,784円
 合計:113万4,590円

 

このように、初年度には113万円ほどの費用がかかります。2年目は入学金がないとして単純計算すると、2年間で206万7,430円かかることになります。

 

ひとり暮らしを継続して支援するのであれば、その費用も追加に。さらに博士課程に進学となれば、その分の費用も必要になるわけです。

 

小山さんの例でもそうですが、親としてどこまでしてあげるべきなのかは悩むところでしょう。しかし「子どものため」「親の責任」といって無理に負担を続ければ、自分たちの家計が成り立たなくなります。

 

「理系に通うかもしれないから」「大学院まで通うかもしれないから」そんな風に考えれば、準備する金額はいくらでも大きくなってしまいます。しかし、住宅ローンなどの各種支払い、自分たちの老後資金など、さまざまなところにお金は必要ですから、どこかで線を引き、冷静な判断をすることも必要だといえそうです。

 

 

 

 

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