富裕層がフェラーリを選ぶ理由
以前、大学生を対象に金融リテラシーの話をする機会がありました。そのとき、「お金持ちになってフェラーリを乗りたい」という学生がいました。シンプルに「金持ちのバッジになるから」「モテたいから」ということのようでしたが、金融リテラシーを身につけて、富裕層の思考を知るなら、もう一歩踏み込んで考える必要があります。
ただフェラーリに乗りたいのであれば、購入せずにリースで十分です。エントリーモデルのフェラーリをリースする場合、残価設定型ローンなどを利用すれば、残価設定によりますが月額の返済額10万円程度で乗ることもできます。
これは300万円程度の国産車を、オートローンを組んで買ったとき(金利6%、返済回数30回想定)の毎月の返済額と変わりません。フェラーリを乗っている姿を誰かに見せたいだけなら、わざわざ数千万円も出して買うこともないでしょう。
富裕層がフェラーリを買うときは、こんなふうに考えます。
ひとつは、「フェラーリは生産台数を厳格にコントロールしているので、年月を経ても資産価値が落ちることなく、むしろ上がっていくので買っておいても損はないだろう」と車自体の資産価値に着目するパターンです。
もうひとつは、「フェラーリはオーナーズクラブが魅力的だから買う価値がある。普段、出会えない人たちとつながりを持てるのは、お金で買えないバリューがある」と富裕層ならではのコミュニティそのものを価値と考えるパターンです。
このように、基本的には不動産も車も同じように、そのものの価値を見極めて、「支払うお金は、自身が達成したい目的の本質的な価値に見合っているか?」を考えるのが富裕層のお金の使い方なのです。
富裕層が意外と質素なファッションをしている理由
意外かもしれませんが、富裕層のなかには想像以上に質素なファッションをしている人も多いです。シンプルなシャツとパンツ、スニーカーといういで立ちで現れることもままあります。
物欲の壁というものが存在するとしたら、富裕層の人たちはすでにそこを超えてしまい、物質的な所有の欲に支配されていません。マズローの欲求5段階説にある「1.生理的欲求」→「2.安全の欲求」→「3.社会的欲求」→「4.承認欲求」の段階まで上り詰めると見えてくるのが物欲の壁。
先のフェラーリをバッジだと思っていた学生のように、「成功している人に見られたい」「儲かっていることを自慢したい」というようなことが物欲につながっていくこともあります。洋服や時計、鞄や靴にいたるまで高級ブランドで固めている人たちはここで止まっている「小金持ち」の人。
その先にある「5.自己実現の欲求」の段階までくると、「他人からどう見られるかよりも、自分が満足できる生き方をしていきたい」となるのでしょうか。ファッションも自然と、ブランドものではなくシンプルなものに辿り着いていくのではないかと思います。街ですれ違っても「お金持ち」だとわからないくらい質素な人に、本物の富裕層が潜んでいたりするものですね。
田中 渓
投資家
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