フィリピン「110の新興国・再生可能エネルギー投資」ランキングで2位浮上のワケ

12月16日週「最新・フィリピン」ニュース

フィリピン「110の新興国・再生可能エネルギー投資」ランキングで2位浮上のワケ
写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が、フィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今週は投資先としてのフィリピンの評価について、BloombergとOECDのレポートを解説していきます。

経済協力開発機構「IPO要件緩和」を提案

経済協力開発機構(OECD)はフィリピンの資本市場の発展を促進するため、株式市場への上場要件の緩和と手数料の引き下げを提言しました。2023年12月に発表されたフィリピンの資本市場レビューによると、同国の新規上場企業数と新規株式公開(IPO)による資金調達額は2000年以降、東南アジア諸国連合(ASEAN)のなかで最も低い水準にとどまっています。

 

OECDは、上場要件が他国と比べて厳しく、手続きが煩雑で柔軟性に欠ける点を指摘しました。IPOの承認にはフィリピン証券取引所(PSE)と証券取引委員会(SEC)の両方の承認が必要であり、プロセスの遅延が企業の上場意欲を削ぐ要因となっています。最適な市場環境を逃す可能性があるため、上場プロセスの迅速化が求められています。

 

OECDは上場申請を一本化し、IPOの承認期間を3カ月以内とすることでプロセスの効率化が図れると提言しました。SECはすでに45日間の処理期間を導入し、簡素化に取り組んでいると述べています。

 

フィリピンにはIPOの潜在的な候補となる企業が約400社存在します。2021年時点では、資産額が56億ペソを超える非金融系の大企業が411社ありました。これらの企業の市場参入を促すことで、資本市場の拡大が期待されます。SECは中小企業(SME)向けの上場促進策も展開しており、国内各地での資本市場ロードショーを通じて関心のある企業を支援しています。

 

また、他のASEAN諸国では国有企業(SOE)の上場が市場拡大の鍵となっており、フィリピンでも同様の取り組みが期待されています。現在、フィリピンでは上場している国有企業はありませんが、シンガポール、インドネシア、マレーシア、ベトナムでは国有企業が市場の主要なプレーヤーとなっています。

 

OECDは、フィリピンでも主要なSOEの少数株を上場させることで資本市場の拡大が図れると提案しています。特に総資産が3.1兆ペソ(約615億ドル)のLand Bank of the Philippinesと、総資産が1兆ペソ(約200億ドル)のDevelopment Bank of the Philippinesは注目されています。ただし、これらの銀行は立法修正が必要な特別法人であるため、上場には法改正が必要です。

 

2023年には、OceanaGold Philippines, Inc.、Citicore Renewable Energy Corp.、NexGen Energy Corp.の3社のみがIPOを実施し、PSEの目標であった6社には届きませんでした。しかし、2025年には6社のIPOと1,500億ペソ(約30億ドル)の資金調達を目指しています。資本市場のさらなる発展に向けて、規制の緩和と市場参加の促進が重要な課題となっています。

 

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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