「想定外」続きのアパート経営
それから5年ほどが過ぎた水口さんのアパート経営状態ですが、ふたを開けてみると赤字続きです。
想定よりも部屋が埋まらず、半分以上の部屋が空き室状態になっていました。また、入居が決まっても、すぐに退去する人も多く、その都度ハウスクリーニングやリフォーム費用が発生する状態です。
具体的な数字をみていくと、当初の家賃収入は640万円と試算していましたが、空室が多く、実際には400万円程度にしかなりませんでした。水口さんのアパート経営は毎月のローン返済や保険料、修繕費、固定資産税などを考慮すると年間120万円、月換算すると毎月10万円の赤字に陥っています。
水口さんはアパートの収支報告を見ながら、思わずため息をつきました。
「なんてことだ、こんなはずではなかった……」
当初は年間200万円の利益が見込めると考え、家計の赤字を補填しながら孫の教育資金や生活費を支えるつもりで始めたアパート経営。しかし現実は厳しく、空室が多いため家賃収入は試算の640万円には程遠い400万円程度。
それでもローン返済や修繕費、固定資産税などの支出は容赦なく襲いかかり、毎月の赤字は10万円にも及ぶ状況になっていました。
「これじゃ、家計が楽になるどころか、かえって負担が増えているじゃないか。孫のためと思って始めたのに、こんな結果になるなんて……」
さらに、退去後のハウスクリーニングやリフォーム費用がかさむたびに、懸命に築き上げた老後の資産が徐々に目減りしていくのを実感せざるを得ませんでした。
「営業マンの話を信じて、安易に決断してしまったのが間違いだったのか……」