(※写真はイメージです/PIXTA)

退職までに2,000万円を貯めた60代夫婦。ひとり息子も結婚して独立しており、将来は安泰だと安心していたものの、予想外の事態に「老後破産」が現実味を帯びてきたのでした。いったい夫婦になにがあったのか、牧野FP事務所の牧野寿和CFPが、老後の“思わぬ落とし穴”について事例をもとに解説します。

現役時代に貯めた「老後資金」いつから取り崩すのが正解?

厚生労働省「令和5年就労条件総合調査結果の概況」によると、勤続20年以上かつ45歳以上の退職者がいた企業の退職者に退職給付(一時金・年金)制度がある企業は、平均=74.9%となっています。

 

■従業員数1,000人以上の企業=90.1%

■300~999人=88.8%

■100~299人=84.7%

■33~99人=70.1%

 

平均で約25%、つまり4社に1社は退職金制度がないことがわかります。

 

また同調査で、主な産業別の退職金制度がある企業は、複合サービス事業(郵便局や他に分類されない協同組合)=97.9%、鉱業、採石業、砂利採取業=97.6%、電気・ガス・熱供給・水道業=96.4%と続き、Aさんが勤務していた運輸業、郵便業=69.9%、宿泊業・飲食サービス業=42.2%の順となっています。

 

老後資金を使いはじめる平均年齢は66.8歳

生命保険文化センター「『生活保障に関する調査』2022(令和4)年度」によると、預貯金や個人年金保険、有価証券などの老後資金を使い始めようと考えている年齢は、平均66.8歳。また老後資金を使いはじめる年齢は、65歳=34.2%、70歳=23.4%、60歳が11.7、70歳以上=9.3%の順になっています。

 

Aさんと同様に60歳で使い始めるのは11.7%、約11人に1人です。

A家の家計の現状を知る

筆者はAさんに、なぜ退職までに2,000万円を貯めることができたのか聞きました。

 

A夫婦は、株式や投資信託といった金融商品への投資運用が苦手な分、ひとり息子が大学を卒業してから約10年間、お互いの収入から4~5万円ずつ出し合って定期預金を積み立てたそうです。

 

現在の家計支出額は、住居費、水道光熱費、通信費、保険料、サブスクリプションサービスの料金、自動車維持費、固定資産税といった固定費と、食費、日用品、医療費、冠婚葬祭費、理美容費といった変動費です。おおよその金額を書き出してみると、あわせて月38万円前後だとわかりました。

 

旅行や外食も多く、月によっては50万円以上になり、勤めていたときよりもむしろ出費が多くなっています。このままの生活を続けると、近い将来破産することは誰の目にも明らかです。

 

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※プライバシー保護の観点から、登場人物の情報を一部変更しています。

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