今回は、「結露」による筆者の苦労を見ていきます。※本連載は、経済評論家として各媒体で活躍する上念司氏の著書、『家なんて200%買ってはいけない!』(きこ書房)の中から一部を抜粋し、著者自らの体験談を交えた「間違いだらけの家選び」について紹介します。

引っ越し翌日の朝、窓が結露で滝のように水が・・・

備え付けの家電とかまったく価値がないものはいろいろくっつけるくせに、日本の住宅は建具に全然金をかけてないという本当に腹立たしいことがあります。日本は自然が豊かです。気候が温暖で、水が豊富です。水が豊富ということは湿気がある。そして・・・湿気といえば結露ですよ!!

 

これが最悪です。人生初の新築が完成したのが秋の気配が近づく9月末、引っ越しは10月でした。引っ越してすぐに迎えた初めての迎えた冬の朝、目覚めた私は愕然としました。窓が滝になっていたのです!

 

最初は乾いたぞうきんで拭いていましたが、毎日毎日とんでもなく結露が発生するのであきらめました。量販店に行って、結露取り用のワイパーを買ってきたのです。5000万円出してこれとは、いまだに許せません・・・。

住宅の「熱伝導」が良すぎることが最大の原因

さて、結露のメカニズムは簡単です。気温差です。外が寒くて中が暖かい。なまじ日本の住宅は気密性が高く中が暖かいですから、その温かい空気が建物の躯体を暖めてしまうわけです。壁には断熱材が入っていますから、外の冷たい空気と中の暖かい空気は交わりません。ところが、窓はアルミサッシじゃないですか。しかもガラス一枚。

 

熱伝導が良すぎるんですよ!!! 外からは冷やされ、中からは温められる。気温が高いと飽和水蒸気量(※)も多いので空気中に水分は吸収されますが、窓の表面だけ極端に気温が低いと、そこだけ飽和水蒸気量が少なくなって吸収されない水分が出てきてしまうのです。これが結露の正体です。

 

(※)飽和水蒸気量1立方平方メートルの空間に存在できる水蒸気の質量をグラム(g)で表したもの。

 

[図表]結露のメカニズム

 

それから、皮肉なことに日本の住宅のスペックが上がったことも大きな要因のひとつでしょう。私が子どものころに住んでいた家は塗り壁で、柱と壁のすき間から外が少し見えるぐらい、断熱なんて概念のない構造物でした。

 

ですから、家の中の気温も外気温と大して変わりなく、結露そのものがしにくかったし、すきま風全開で水分も飛んでいたわけですよ。あばら家の利点ですね!

 

しかし、今の家は中途半端にハイスペックなんです。当時、私は滝と戦いました。結露取り用のワイパーを始め、さまざまなアイテムを試しました。例えば、結露防止フィルムや、結露防止スプレーなど・・・。

 

結露防止フィルムは空気が入らないように貼るのがとても大変です。しかも、効果はゼロでした(私がこれを使っていたのは今から10年以上前なので今の製品はどうか知りませんが・・・)。苦労して貼った労力を返せ! と思いましたよ。

 

一方、結露防止スプレーは効果はありました。ただ、効くのですが、時間が経つと効果が薄れてきます。そしてまた滝が復活。まぁ当然ですよ。毎週窓にスプレーするのも大変です。結局スプレーもやめて、ワイパーに戻りました・・・。

家なんて200%買ってはいけない!

家なんて200%買ってはいけない!

上念 司

きこ書房

「空き家率は将来、40%になる」 「今後は誰もがタダで家を手に入れられる」 「家賃のほうが、ローンの支払額より安い」 舌鋒鋭い経済評論家、上念司が自らの体験談を交え、初めて語るマイホーム本! 人口減少、少子高齢…

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