本連載は、経済評論家として各媒体で活躍する上念司氏の著書、『家なんて200%買ってはいけない!』(きこ書房)の中から一部を抜粋し、著者自らの体験談を交えた「間違いだらけの家選び」について紹介します。

食洗器、床暖房、浴室乾燥…売る時の価値は「ゼロ」

中古住宅の評価というのは、それはそれは悲惨です。もう家としては扱われない。不動産世界における奴隷、家畜、それが中古住宅です。特に都心ではなく、郊外の私鉄沿線の駅から徒歩10分以上かかる戸建て住宅は悲惨です。

 

私は29歳で買った家を32歳で売る羽目になり、この恐ろしい弾圧を経験しました。精神的な苦痛、そしてなによりも屈辱的な扱いに大きなストレスを感じたことはいうまでもありません。

 

二度とあの地獄には堕ちたくありません。まさに悪魔の棲む世界でした。だからこそ、皆さんには同じ思いをしてほしくないという思いから、少しでも多くの忠告をお伝えしたいと考えています。

 

悪魔に取り憑かれているときには、家の設備が素晴らしく見えます。備え付けの食洗器、床暖房、浴室乾燥・・・。しかし、これらは悪魔が見せている幻です! こんなものは、売るときにはなんの価値もありません。ゼロです!

 

神の言葉を思い出してください。

 

金持ちはお金を出して資産を買う

貧乏人はお金を出して負債を買う

 

新築の家を買ってしまったばかりに、間取りのカスタマイズをするときにセールストークに騙されてみんな備え付けの高い設備を買ってしまうのです。買うのは家だけにしておけばいいのに、結局家を買って、さらに設備に金を使う。私はまさに貧乏人の金の使い方をやっちまったんですよ!! クソ!! 金返せ!!!

備え付け家電は「使い勝手が悪い」ことが多い

床暖房は確かに暖かいです。風も出ませんので埃も巻き上げません。でも、本当に寒い時は床暖房じゃぜんぜん足りません。結局、エアコンを入れたりしていました。

 

石油ファンヒーターの超ハイエンド(※)商品を買ったってせいぜい3万円。最近のものなら1万円しない製品だってあります。しかもすばらしく暖かい! 床暖房なんかやったら30万円ぐらい軽く取られてしまいます。

 

(※)ハイエンド・・・同一の製品またはサービスのなかでもっとも品質が高く、つまりもっとも価格も高いもの、およびその価格帯のことを指す。対義語はローエンド。

 

食洗器も一緒です。備え付けは作った時点の型番で固定されて取り換えるのはほぼ無理。しかし、家電で買えば3万円ぐらいで、古くなったら新品との取り替えも楽チンです。備え付けにする意味がわかりません。

 

備え付けにするとそれにともない造作工事が必要で、そこに手間賃がかかります。これに対して家電を自分で買って来て好きな場所に置けば、必要なのは製品の値段だけ。しかも、量販店の家電なら価格競争があるので安い。オンリーワンの備え付けには価格競争がありません。1000万円以上損して、初めてそのことに気づきました。

 

それほど悪魔の誘惑というのは魅力的だということです。

カスタマイズしやすい「シンプルな家」が最も良い

家なんて箱です。究極はスケルトンの躯体を用途に応じてカスタマイズするのがあるべき姿です。

 

今という時間のニーズに合わせてカスタマイズし過ぎれば、必ずあとで直すときに異常なコストがかかります。中古市場で家を買い求める人のニーズにそんなカスタマイズし過ぎた住宅が応えられるわけありません。

 

だからこそ、備え付け家電を始めとしたカスタマイズに対する評価はゼロなんです。悔しいですけど、市場が正しい。これがシビアな現実なのです。

 

 

私はそれ以降、付帯設備で価値を偽装した家には絶対に住まないと決めました。これは賃貸だろうが分譲だろうが関係ありません。これこそ、私が体得した究極の悟りのひとつです。

 

<まとめ>

家の究極の形は箱! 備え付け家電などのカスタマイズは無用の長物である。

家なんて200%買ってはいけない!

家なんて200%買ってはいけない!

上念 司

きこ書房

「空き家率は将来、40%になる」 「今後は誰もがタダで家を手に入れられる」 「家賃のほうが、ローンの支払額より安い」 舌鋒鋭い経済評論家、上念司が自らの体験談を交え、初めて語るマイホーム本! 人口減少、少子高齢…

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