ロスリーダーとチェリーピッカー
価格は消費者を動かすもっとも重要な要因には違いありません。そのため、スーパーマーケットなどは、たくさんの客を呼ぶために目玉商品を導入することがあります。もちろんこれらの商品は目立つ位置に陳列し、チラシにも大きく載せます。
このような商品のことを「ロスリーダー」といいます。ロスリーダーとして使われやすいのは、価格弾力性が高くて、単価の安い、大量に販売できるもので、スーパーマーケットでは食品がよく使われます。
ロスリーダー商品自体は儲(もう)けを生み出さない(場合によっては損失を生じさせる)のですが、それを目的に来店した客がそれ以外のものも購入してくれるので、客寄せのためによく使われるのです。
多くの研究が「本日の特売品」や「セール品」のようなロスリーダーが店全体の売上や利益を増加させることを示しています。
ただし、ひとつ大きな問題があります。それは、このようなロスリーダーのみを購入し、そのほかの商品を購入しない人々が一定数存在することです。彼らのことを「チェリーピッカー」といいます。おいしいさくらんぼだけを摘(つ)み取っていく人々という意味です。
チェリーピッカーはさまざまな商店の価格の情報を集め、少量の特売品のみを購入します。1円でも安ければ別のスーパーまで移動することも厭(いと)いません。
またファストフードでいえば、マクドナルドで100円マックの商品ひとつだけ買って客席(サービス)を占拠する中高生も、チェリーピッカーといえるでしょう。このタイプの消費者は基本的には利益をもたらしません。
それどころか、このタイプの客が多ければ多いほど、店は儲からなくなってしまいます。