商品のファンにしてしまうブランド戦略
では、チェリーピッカーを排除するためにはいったいどうすればよいでしょうか。
そもそも価格で客を惹(ひ)きつけるから、それを利用しようとするチェリーピッカーが現れるので、このようなプロモーションをしなくても商品を売ることができるようにすればよいわけです。
「値札を見ながら商品を買い物かごに入れる」消費者でなく、「これが欲しいから値段はそれほど気にせずに買い物かごに入れる」消費者を育てていけばいいのです。
それはどのような消費者なのでしょうか。一言でいってしまえば、その商品やサービス、ブランドのファンということになります。ファンなら値段は二の次になるはずです。
そこで、何よりも重要なのは、消費者を自分の会社が出している商品やサービス、ブランドのファンにすればいいのだという経営戦略が出てきました。
ブランドというと、我々はプラダやシャネル、ルイ・ヴィトンなどのラグジュアリーブランドがすぐに思い浮かびます。これらの商品も確かにブランドですが、それだけではありません。
たとえば、亀田製菓の「ソフトサラダ」や「ハッピーターン」、森永製菓の「ポテロング」、明治の「きのこの山」などの人気菓子もブランドです。
これらの商品を買うときは、そもそも「これが食べたいから買う」のであって、それが手に入ればあまり値段を気にしないのではないでしょうか。ソフトサラダを手に入れるためなら、数円高くてもあまり気にならないのです。
価格帯はまったく異なりますが、プラダの熱狂的なファンも新作バッグが出ると、必要性にかかわらずどうしても欲しくなるでしょう。その場合、もしお金がなければ、節約したり仕事を増やしたりしてまで買ってくれます。しかも正規品を正規店で購入するでしょう。値段よりも欲しさや購入体験のほうが重要なのです。これに対してノンブランドのバッグの場合、もちろん必要がなければ買いたくなりませんし、買う場合には値段が購入の重要な判断基準になってきます。
この場合、どの店で買うかはほとんど問題になりませんし、機能が同じなら安ければ安いほど満足すると思います。