資本主義的傾向に伴い、人々の嗜好や生活様式にも多様性が見られるようになったベトナムですが、不動産にもその影響が現れてきました。今回は、経済の発展に伴って乖離が進む、土地の公示価格と取引価格の差や、これまでは認められなかった、複数の目的を持つ建築物の登場などについて見ていきます。

土地の公示価格と実勢価格の乖離が進むベトナム

嗜好や生活様式で資本主義的傾向が進むベトナムですが、社会主義的な法令のもとで取り引きされる不動産についても、資本主義的傾向が進んでいます。

 

 

ベトナムにも公示地価があるのですが、実際取り引きに使われる価格とは大きく乖離しています。ベトナム全土の地価データを提供するガックバン社(Gach Vang)の最新調査によると、ホーチミン市内で最も地価が高いのは、歩行者天国のあるグエンフエ通りで、1㎡あたり、516万円になるようです。

 

ただし、2015年におけるホーチミン市の公示価格は、中心部のグエンフエ通り、レロイ通り、ドンコイ通りの地下の上限が、1㎡あたり約76万円に留まっています。これほどまでに公示価格と実際に取り引きされる地価の価格が異なっている実態があります。ホーチミン市で地価が高いのは中心地である1区を中心点とした同心円上に広がる地域です。

 

今後もベトナムの経済発展につれて、公示価格と実際の取引価格の乖離は広がっていくものと思われます。

オフィスにもホテルにも…多目的な不動産物件の登場

これまでの連載で、多様な人生の目的を持った日本人のベトナム居住が増えていることを伝えましたが、ベトナムを投資の有望国と見る日本人も増えています。

 

ベトナムは不動産バブルの崩壊を経験しました。その解決を図るため、2015年に住宅法を改正して外国人が投資目的で不動産を購入できるようにしました。その時期は不動産バブル崩壊の傷跡をふさぐために、多少でも外国人投資を呼び込もうとした政策でした。

 

したがって、不動産価格はまだ高騰していない時期での解禁と言うことになります。ベトナムでの不動産投資を魅力的にしている理由がそこにあります。

 

また、ベトナムは、不動産の使用目的をはっきり決めた上で、営業許可を与えるシステムの国です。居住用、オフィス目的など、使用目的に応じた利用しかできません。ところが最近になって、「オフィステル」「コンドテル」と表現する物件が出てくるようになりました。

 

「オフィステル」とは、オフィスとしても使えて、ホテル(またはサービスアパート)としても活用できる物件と言う意味です。「コンドテル」とは、コンドミニアムとしてもホテルとしても活用できる物件と言う意味になります。

 

 

このようにベトナム不動産は多様な用途に対応できるような物件が増えているのです。

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