かつてはしっかり収益を生んでいたのに・・・
かつては収益を生んでいたものの、すでに老朽化した物件。持ち続けてもリフォーム代がかさみます。かといってそのまま売却するには設備も古く、入居者がいる状態では簡単に処分することができません。これはいろいろなところで聞かれる悩ましい問題です。
数年前、相談を受けた例です。
文京区本駒込に敷地50坪、建築後30年経過した2階建てアパートを所有し、1階を自宅として住んでいる80代のオーナーのことでした。残りの9戸を賃貸にしていたのですが、その内4戸が退室。近くの不動産業者に相談したところ、現在の月額家賃収入が計40万円(年480万円)であるならば、収益物件として5000万から6000万円程度で売却できるので、扱わせてほしいと言われたらしいのです。
果たしてこの選択は正しいのでしょうか。
更地にしたら当初の計画の2倍以上の高値に
この相談を受けて調査したところ、その土地の更地価格は地価公示ベースで1億円前後
だったので、リスクがありますが入室中の5戸の明け渡しをお願いし、建物を取り壊して、更地での売却をおすすめしました。
更地にするには、入居者1人当たり家賃6カ月相当の明け渡し費用で240万円、取り壊し費用200万円、計440万円がかかる計算でした。
しかし入居者との明け渡しの交渉時に「オーナーが障害を持った高齢者でアパート経営ができなくなった」とご説明したところ、計190万円の費用で全員退去に同意いただき、更地化後に1億2000万円で一般の方への売却に成功しました。このオーナーは、不動産業者のいう金額の2倍以上で売れたため、高級老人ホームに余裕をもって入居できました。
このように、老朽化した物件も、不動産の専門家に相談すれば工夫次第で高値で売ること
ができます。いつまでも少々の出費を惜しんで塩漬け不動産を持ち続けるよりは、潔く支払って高値で売ってしまったほうが賢い選択だというわけです。
次回は、分譲マンションの例をご紹介しましょう。