(※写真はイメージです/PIXTA)

「厚生年金に40年間加入して、その期間の平均収入(月額換算した賞与含む)が月43.9万円の場合、受給額は月額約9.0万円の老齢厚生年金と、月額約6.5万円の老齢基礎年金を合計した約15.5万円(2021年度)になります」。厚生労働省の運営するホームページ『いっしょ一緒に検証!公的年金』には、このような例が受給額としてあげられている。月15.5万円……これを多いとみるか少ないとみるかはさておき、「厚生年金に40年間加入」「その期間の平均収入が月43.9万円」というのは、なかなかハードルが高いのではないか。

コロナ禍での「就職難」との「決定的な違い」

コロナ禍では、「新たな就職氷河期世代」が形成されてしまう可能性について言及されることがしばしばあった。

 

とはいえ、1990年代から2000年代までとは決定的に違うことがある。「働き方改革」の存在だ。厚生労働省の運営する『働き方改革 特設サイト』には、以下のように書かれている。

 

“日本が直面する「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」、「働く方々のニーズの多様化」などの課題に対応するためには、投資やイノベーションによる生産性向上や、就業機会の拡大、意欲・能力を存分に発揮できる環境をつくることが不可欠です。

 

働く方の置かれた事情に応じて、多様な働き方を選択できる社会を実現することで、成長と分配の好循環を構築し、働く人一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指します。”

 

1990年代から2000年代の就職氷河期時代には、体のいい「フリーター」なる言葉が流行ったが、「働き方改革」という政府主導のもと、「柔軟な働き方がしやすい環境整備」が進められている。「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」にも取り組まれているほか、令和2年の5月29日に成立した「年金制度改正法」では厚生年金保険の適用範囲も拡大された。

 

ネットを活用した「会社に頼らない稼ぎ方」の選択肢も、就職氷河期と比較すると幅広くある。法的制度と社会的システムが整いつつある、まさに黎明期だ。「多様な働き方」が許容される時代になろうとしている。

 

内閣官房による「就職氷河期世代支援プログラム」によると、支援対象となる「正規雇用を希望していながら不本意に非正規雇用で働く者」は少なくとも50万人におよぶという。

 

『就職氷河期世代への、支援ポータルサイト ゆきどけ荘』では、ハローワークへ相談へ赴き、“就職”に成功した先輩たちの成功話が並ぶ。なかには「コロナ禍で解雇されたのをきっかけに」のような新しい話もある。

 

彼らが正規社員となり、厚生年金に加入できたとして、将来どのくらいもらえるのか。

 

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