(※写真はイメージです/PIXTA)

相続手続きを行うなか、意外な形で故人の思いに触れることがあります。心温まるものも数多いなか、ときにはそうでないケースも…。ある家庭の相続から、実情を探ります。

母は激怒、息子たちは困惑→出した結論は…

「母は〈なんなの! 一体どういうこと!?〉といって激怒しましたね」

 

鈴木さんも弟も、この遺言書の内容に絶句。

 

「母は店をやっていますから、お金はそれなりにあるでしょう。でも、高齢ですし、そろそろ引退も考えているはず。それなのに、生活基盤となる家を売却するなんて、一体…」

 

鈴木さんは、母親と弟と話した結果、遺言書とはまったく異なる遺産分割で着地することになりました。

 

「2,000万円の自宅は母が相続して、500万円の預貯金は私と弟で半分ずつにすることにしました」

 

遺言書と異なる内容での遺産分割ですが、「相続人及び受遺者全員の同意があれば可能と解されています。」(法テラス)とあるように、配偶者である鈴木さんの母親、そして子供である鈴木さんとその弟とという全員の合意ができていたことから、父親が遺した遺言書と異なるかたちでの遺産分割を行っても問題ありません。

 

「父が、それほど母に不満をもっていたとは知りませんでした。母の稼ぎがあったから、60歳で定年退職できたのに。母をサポートしつつ、夫婦で楽しめばよかったのになぁ、と思います。少なくとも、私ならそうしますね…」

 

長年の感情のわだかまりが、遺言書に吐き出されたということなのでしょうか。やはり、生前からの適切なコミュニケーションが大切だといえます。

 

 

[参考資料]

法テラス「遺言の内容と異なる遺産分割をすることはできますか。」

 

 

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