(※写真はイメージです/PIXTA)

相続手続きを行うなか、意外な形で故人の思いに触れることがあります。心温まるものも数多いなか、ときにはそうでないケースも…。ある家庭の相続から、実情を探ります。

仕事を持つ妻とギクシャクしていた、元会社員の高齢男性

高齢化が進展し、多死社会となった日本では、いつもどこかで相続が発生しています。そしてそれに伴い、さまざまなドラマが展開されています。

 

横浜市緑区在住の鈴木さん(仮名・40代会社員男性)は、今年に入って70代の父親を亡くし、相続手続きを終えたばかりです。

 

「想定外のことがありまして、いろいろ驚いてばかりで…」

 

鈴木さんの亡き父親は中小企業のサラリーマン。母親は健在で、いまも自分が経営するお店を切り盛りしています。鈴木さんには3歳年下の弟がいて、兄弟はともに会社員として働き、自分の家庭も築いています。

 

「父は3年前にがんの診断を受け、入院や手術を繰り返したのですが、今年の1月に亡くなりました」

 

鈴木さんの母親は、結婚当初は専業主婦だったそうですが、鈴木さんの弟が小学校に上がったタイミングで自分の父親(鈴木さんの祖父)が経営する店を引き継ぎました。商才があったのでしょう。お店は繁盛し、それに伴って家計も潤ったといいます。

 

「いまと違って、当時は母親が専業主婦をしている家が多かったと思います。父は、自宅を空けてばかりの母を快く思わなかったようで、よく嫌みをいっていましたが、母親はどこ吹く風、といった様子でした」

 

「私も弟も、母には感謝しています。奨学金なしで大学を出してもらっただけではありません。私は留学させてもらい、弟は私立の理系の大学院を出ています。父だけの収入だったら、きっと無理だったでしょう」

 

父親が定年退職したあとも母親は商売を続けたおかげで、鈴木さんの実家はゆとりがありましたが、年金収入しかない父親と、商売でかなりの収益を得ている母親とで、懐具合に差が開くと、次第に2人の関係に変化が見られるようになったといいます。

 

「会話もさらに少なくなった印象でした。でも、年齢を重ねた夫婦がお互い空気のようになるのは、よくある話だと思っていました。そのため心配していなかったのですが…」

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