(画像はイメージです/PIXTA)

相続にあたり、財産のうち最も高額となるのは土地といっていいでしょう。「相続税申告」と「売却」の際には、土地の価格を調べる必要がありますが、これらは異なる評価方法が使われます。相続専門税理士の岸田康雄氏がやさしく解説していきます。

土地の価額の評価方法は「4種類」

「相続税申告」と「売却」の際には、土地の価格を調べる必要がありますが、これらは異なる評価方法が使われることをご存じでしょうか。

 

土地の評価方法は4種類あります。これは、土地を評価する目的が4つあるということです。

 

「路線価」「固定資産税評価額」「公示価格」「実勢価格」の4つです。路線価は、相続税申告のための価額です。公示価格と実勢価格は、土地を売買したいときに参考にする価格となっています。

[図表1]土地の様々な評価額

土地の評価の基準となるのは「路線価」

相続財産に土地があるとき、土地の価格を評価しなければなりません。本来は、時価で評価するのですが、個人の土地の時価はわからないと思います。そこで国税局が、毎年、土地の評価の基準となる路線価をWebサイトで公表しています。これが、相続税や贈与税の計算の基準となります。

注:記号の上部又は下部(路線の向きによっては右又は左)が「黒塗り」又は「斜線」で表示されている路線の地区区分は、次のとおりです。「黒塗り」の場合、その地区区分は「黒塗り」側の路線の道路沿いのみが該当します。 「斜線」の場合、その地区区分は「斜線」側の路線には該当しません。 「黒塗り」又は「斜線」ではない「白抜き」の場合、その地区区分はその路線全域に該当します。
[図表2]路線価図
出典:国税庁「路線価図の説明」
注:記号の上部または下部(路線の向きによっては右または左)が「黒塗り」または「斜線」で表示されている路線の地区区分は、次のとおりです。「黒塗り」の場合、その地区区分は「黒塗り」側の路線の道路沿いのみが該当します。「斜線」の場合、その地区区分は「斜線」側の路線には該当しません。「黒塗り」または「斜線」ではない「白抜き」の場合、その地区区分はその路線全域に該当します。

 

路線価は、道路に面する標準的な宅地の1㎡当たりの評価額を1,000円単位で表示したものです。実際に、土地の評価額を計算するときは、路線価に土地の面積をかけて計算します。正確には、地形による補正率もかけることになります。つまり「路線価×面積」になるわけです。

 

たとえば、路線価が30万円で、面積が100㎡だとすれば、「30万円×100㎡」で3,000万円という計算です。実際は形状による補正率もかけますので、3,000万円よりも高くなることもありますし、低くなることもあります。

 

[図表3]路線価の計算方法

 

相続税を申告するとき、土地の面積は、現地に行って実際に測量しなければなりません。登記簿謄本に面積が書いてあるのですが、必ずしも正確だとはいえません。また道路のない山奥の土地の場合、評価額は「倍率方式」と呼ばれる方法を使うことになっています。

 
路線価図に「倍率地域」と書かれている場所です。そこでは、土地の「固定資産税評価額」に一定の倍率をかけて計算します。評価倍率も路線価と同じように国税庁のWebサイトで公表されています。

固定資産税評価額」は固定資産税課税明細書に記載

固定資産税評価額は、毎年送られてくる「固定資産税納税通知書」の中にある、固定資産税課税明細書に「価格」として書いてあります。固定資産税や登録免許税を計算するときの基準となる価格です。ちなみに、固定資産税評価額は、実勢価格の70%程度になるように決められています。
[図表4]固定資産税課税明細書に書かれた固定資産税評価額の見方
 

「公示地価」は毎年国交省が発表、HPに掲載あり

次に「公示地価」と「実勢価格」について説明します。

 

「公示地価」は、毎年国土交通省が発表しているもので、土地を売買したい人が目安とするための価格です。国土交通省のホームページで公表されています。ちなみに、公示地価と似たようなものに、「基準地価」という価格がありますが、公表するのが都道府県だというだけで、ほとんど公示地価と同じようなものだと思えばいいでしょう。実勢価格というのは、実際に売買が行われた取引価格のこと。まさに「時価」といえるものだから、役に立つ参考データだといえます。

 

国土交通省のホームページにある「標準地・基準地検索システム」を使います。調べたい土地の地名を入れると、その地域の公示地価と基準地価が一覧表示されます。これが、標準地の1㎡あたりの価格です。

 

自分が所有している土地に、できるだけ近い場所と条件の土地の公示価格を見つけます。実際の売買価格は、土地の形状や接している間口の広さ、周辺環境、駅からの導線など様々な要素に影響を受けますが、大体の目安がわかるようになっています。公示価格に面積を乗じると、公示地価による評価額を計算できます。

 

実勢価格を手早く自分で調べるのであれば、国土交通省の「土地取引価格情報検索」を使うといいでしょう。大まかな所在地、取引時期、面積、平米単価、取引金額まで検索することができます。

 
岸田 康雄
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)

 

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