(※写真はイメージです/PIXTA)

地方に住む美智子さん(64歳)のもとに、東京で一人暮らしをしている娘・綾さん(35歳)から涙声で「詐欺に遭ったかもしれない」という電話がかかってきました。話を聞くと被害額は1,000万円とのこと。その後わかったことですが、綾さんが遭ったのは被害金額の回収も難しい「ロマンス詐欺」といわれるものでした。本記事では、CFPなどの資格を持つトータルマネーコンサルタントの新井智美さんが、暗号資産(以下、仮想通貨)を使ったロマンス詐欺の現状について解説します。

被害発覚後の動き

綾さんはまず消費者センターに連絡をしました。すると「一刻も早く警察に行って被害届を出してください」とのこと。その日の仕事を休んで警察に駆け込むと、「現時点では被害届は作成できません」との回答。

 

呆然とする綾さんに警察の人は「いつ、どこから、いくら、どの口座に振り込んだかの裏付けが取れないと被害届を作成できないのです。振り込んだ際のスクリーンショットなどの証拠をそろえて持ってきてください」と説明し、綾さんは失意のどん底に突き落とされました。ただ、幸い振り込んだ際のスクリーンショットは残っていたため、警察の人にそれを見せ、裏付け捜査を進めてもらうようお願いしてその日は帰りました。

 

しかし、その後いつまで経っても警察から連絡がきません。綾さんが問い合せても「まだ銀行からの回答待ちです」という答えが返ってくるだけです。結局5ヶ月後に全ての振り込みの裏付けが終わり、最終的に被害届を出すことができたものの、振り込んだ口座からはお金がなくなっており、回収する術もありません。

 

弁護士に相談したものの、「お金が返ってくる可能性は低いですが、こちらで動くことはできます。ただ、費用がかかるお話ですのでどうするか考えて決めてください」と言われ、弁護士への依頼も諦めることにしました。

 

足達良介という名前も偽名で、送られてきた写真は全て中国のモデルのInstagramから盗用したものだったことが分かり、本人を捕まえることもできません。

 

一連の話を聞き、美智子さんは何とかしてあげたい気持ちはあるものの、これから年金暮らしに入ることもあり金銭的な補塡はできません。弁護士に頼っても回収できる可能性が低いことを聞かされたときは、娘にかけてあげる言葉すら見つからなかったそうです。

仮想通貨を利用した詐欺に遭わないために

その後、綾さんは『騙された自分が悪い』と自分を責める毎日を送っています。消費者金融への返済もまだ続いており、綾さんの気持ちの整理にはまだ時間がかかるでしょう。

 

今回の仮想通貨詐欺では、個人の口座に振り込んでいる点が盲点です。綾さんはそれに早く気づくべきでした。本来の仮想通貨取引では取引所に自分の口座を開設し、そこに自分で入金して取引を行います。他人の口座にお金を振り込むなどは有り得ないのです。

 

証券取引でも同じです。証券会社に自分名義の口座を作り、そこに自分で入金してから投資商品を購入する流れです。

 

もし綾さんが1度でも投資の経験があれば、他人の個人口座にお金を振り込むことに疑問を感じ、被害もここまで大きくならなかったかもしれません。

 

仮想通貨詐欺は年々増えています。特に海外の取引所を利用する場合には要注意です。仮想通貨取引を行うなら、まず取引所が金融庁に登録されているかを事前に確認しましょう。

もちろん仮想通貨取引自体は悪いものではありません。ただ、どのような仕組みで利益を上げるのか、そしてどのようなリスクがあるのかをしっかりと理解したうえで利用することが大前提です。

 

詐欺に遭わないためには、会ったこともない人のことを信じないこと、少しでも不安に感じたら周りの人に相談するなど、独りで抱え込まないことが大切です。話を聞いてくれる人がいないと思っているのは自分だけかもしれません。真剣に話を聞いてくれる人はたくさんいます。思い切って心を開いてみる勇気を持つことを心に留めておきましょう。

 

 

新井智美

トータルマネーコンサルタント

CFP

 

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