(※写真はイメージです/PIXTA)

国税庁の調査によると、正規社員の平均給与は530万円ということです(「令和5年分 民間給与実態統計調査」)。1年を通じて勤務した給与所得者全体5,076万人では、1人当たりの平均給与は460万円となります。2009年は405万9,000円なので、この15年ほどで50万円以上上昇していますが、実感はあるでしょうか? 本記事では「サラリーマンの手取り」について見ていきます。

30代後半、ようやく「平均」に近づいたが…

日本の給与所得平均が530万円(正規社員)。高いと感じるでしょうか、安いと感じるでしょうか。あくまで平均なので、多くの、とくに若い人にとっては「みんなそんなにもらえているものなのか…」という金額かもしれません。

 

39歳の岸野さん(仮名)は、40歳を前にして昇給があり、ようやく大台の500万円台に乗り、平均給与にほぼ追いつけたといいます。

 

「月43万円、年収516万円です。昇給はうれしいですが、これ以上は上がる見込みが立ちません。会社は斜陽の業界ですから、伸びしろはなく、正直、定年まで持つかどうかのほうが心配です。今期はたまたま業績がよく昇給となりましたが、来期以降厳しいのは現場として肌で感じています。給与が減る可能性もあるでしょう。この歳で平均に追いついたのは良いものの、そこがピークで、これ以上は上がらない、落ちる見込みもある……では、生涯賃金で考えたときに、少ないほうじゃないのかな、と思います」

 

日本人の60歳までの平均生涯賃金は、“大卒・大学院卒”男性でおよそ2億7,000万円といわれます。ざっくり就業から定年退職までの約40年間、平均年収675万円の計算となります。岸野さんのピークが516万円になってしまえば、大きく下回ります。

 

「年功序列ではありませんが、会社では成績も良く、年齢が上がるほど、ポジションも給与も上がると思っていました。しかしポジションが上がるほど会社自体の未来と全体像が見えてきて、“これ以上は上がることはないな……”と悲観的にしかなれません。年齢的に転職するには最後のチャンスかとも思いますが、せっかく給与をあげてもらったのに、という気持ちと、おこがましいですが、自分が今いなくなったら会社は本当に崩れてしまう、という責任感とに悩まされます。給与が上がったことは嬉しいですが、逆に、もはやここまでか……と不安を感じます。現実を直視させられました。打つ手なしです」

 

将来性のない企業と心中せざるをえない……そんな人も多いのでしょうか。実際、政府も「個人の副業」を奨励しています。厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」には、以下のような記述があります。

 

“人生100年時代を迎え、若いうちから、自らの希望する働き方を選べる環境
を作っていくことが必要である。また、副業・兼業は、社会全体としてみれば、オープンイノベーションや起業の手段としても有効であり、都市部の人材を地方でも活かすという観点から地方創生にも資する面もあると考えられる。”

 

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