前回は、「流動比率」が高くても資産の内容をチェックすべき理由について解説しました。今回は、資産の「当座比率」が高い企業ほど安心である理由を見ていきます。

現金化しやすい「当座資産」が少なければ注意

当座比率(当座資産÷流動負債)×100%

 

《ある本に記載されている内容》

当座比率は、当座資産と流動負債の比率を計算して、パーセンテージで表したものです。一般的には、100%以上あるのが理想と言われています。

 

当座資産とは、現金、預金、売掛金、受取手形、短期保有の有価証券など、すぐに換金できる資産のことです。流動資産の中でも現金化しやすいものだけを抜き出しています。

 

流動負債とは、1年以内に返済しなければならない負債のことで、流動比率の計算に使用したものと同じです。

 

簡単に言えば、返済しなければならないお金よりも、すぐに換金できるであろう資産のほうが多ければ安心で、少なければ注意しなければならないということです。

当座比率とともに「売上債権回転期間」にも注目

《著者の視点》

こちらは流動比率に比較すると、資産の勘定科目が限定されていますので、確認すべき内容も減りますが、当座比率を使用する場合にも、売上債権回転期間を併用して評価してください。

 

先ほどの上場7カ月で粉飾倒産のエフオーアイの当座比率は209.92%でした。

 

100%を超えているから安心と考えていると、単純な粉飾をしている会社に簡単にダマされてしまいます。

 

【図表 当座比率】

 

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    本連載は、2016年10月12日刊行の書籍『取引先の倒産を予知する「決算書分析」の極意』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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