社員が反社かもしれない…数億円の損失リスクを「2,000万円」で回避した49歳・男性経営者の“決断”【相続診断士の探偵が解説】

社員が反社かもしれない…数億円の損失リスクを「2,000万円」で回避した49歳・男性経営者の“決断”【相続診断士の探偵が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「あの人は暴力団関係者かもしれない……」このような噂が社内で広まっていた場合、経営者としては見過ごすわけにはいきません。優秀な若手人材の流出や、取引先からの信用喪失など、取り返しのつかない事態を招く恐れがあるからです。MJリサーチ綜合探偵社取締役で相続診断士でもある若梅秀孝氏が、実際に寄せられた依頼をもとに解説する本連載。今回は、49歳・男性経営者からの依頼を通じて、具体的なケースを詳しく見ていきましょう。

探偵の素行調査の結果、暴力団員との関係が明らかに

原田さんから依頼を受けてM部長に関する調査を行ったところ、M部長自身は暴力団員ではなく、犯罪歴もないことがわかりました。しかし、その後、M部長の素行調査を行ったところ、暴力団員と個人的に飲みに行くなど、親しい付き合いをしていることが明らかになりました。


原田さんは、この調査結果を聞いて、M部長に会社を去ってもらうことを固く決意しました。

 

「暴力団と関わりがある従業員がいると、他の従業員も暴力団との関わりを持たされるおそれがあると思いました。反社との接点を完全に遮断して、会社と従業員を守るためにも、M部長には会社を去ってもらわなければならないと覚悟を決めました」

「2,000万円」で数億円規模の損失リスクを回避

原田さんには、暴力団員との付き合いがあることを理由にM部長を解雇するのではなく、早期退職金を渡して自主退職を促すことを提案しました。暴力団員との付き合いに触れることなく、本人にとって有利な条件で退職を促した方が、穏便に解決できる可能性が高いからです。

 

原田さんが、M部長の年収と残りの勤務年数を計算し、2,000万円の退職金を上乗せすることを条件に早期退職の提案をしたところ、M部長は快諾してくれたそうです。

 

「2,000万円の退職金を上乗せすることで、M部長が自主退職してくれて本当にほっとしました。M部長にパワハラを受けて優秀な人材が流出したり、噂が社外に広がって取引先からの信用を失ったりした場合、数億円規模の損失が出る可能性もあるからです」

反社との関係を断絶するためには戦略が必要

契約書に「反社条項(暴排条項)」を入れるなどの対策を万全に行っていても、今回の事例のように、従業員が暴力団と接点を持ってしまう可能性はあります。反社と関わると、社会的信用を失い、取引先との取引を停止されるなど重大な損失を被るリスクがあるので、早急な対処が求められます。

 

探偵社では、表面的な反社チェックとは違い、状況に応じた戦略を立てたうえで、柔軟な調査を行うことが可能です。例えば、尾行や張り込みにより対象者の行動を監視し、対象者が親しくしている人物を詳しく調査することもできます。今回の調査でも、M部長が居酒屋で一緒に飲んでいた人物を尾行して調査したところ、都内で大きな勢力を持つ暴力団の組員であることが判明しました。

 

今回のように暴力団員と付き合いがある従業員がいることが発覚した場合や、取引先が暴力団と関係のある企業であることが判明した場合などは、穏便に関係を絶つことが難しいと感じるかもしれません。しかし、状況に応じた戦略を立てることで穏便に解決できる可能性は十分にあるので、諦めないでほしいと思います。

 

 

若梅 秀孝

MJ リサーチ綜合探偵社

取締役

 

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