共同経営者から突然退職を告げられたが……真の理由は?
今回の相談者は、IT系企業を経営している北村さん(男性・49歳)です。
北村さんは8年前に、以前同じ会社に勤務していた同僚のAさんと一緒に独立し、会社を立ち上げました。会社は順調に収益を伸ばし、今では40人以上の従業員を抱える規模にまで成長しました。
ところが、Aさんが突然、「実家の母の介護が必要になったから、会社を辞めたい」と言い出したのです。北村さんは「介護をしながら仕事ができる体制にするから続けてほしい」と伝えましたが、Aさんは「どうしても辞めなければならない」の一点張り。
「実は少し前に、社員の一人から、Aさんが競合他社の幹部と楽しそうに飲んでいるのを見かけたという報告を受けました。そのときは、人違いではないかと思いましたが、Aさんの退職の理由や最近のよそよそしい態度を不自然に感じて、念のため調べた方がよいかと思い……」
苦楽を共にしてきた共同経営者を信じたい
北村さんとAさんは新卒で入社した会社の同期で、入社以来20年以上、苦楽を共にしてきました。
「Aさんとは、困難なプロジェクトも一緒に乗り切ってきました。仕事の面でも信頼していましたし、プライベートでも仲が良く、仕事帰りに飲みに行ったり、休みの日にキャンプに行ったりしていました。お互いに結婚して子どもが生まれた後も、家族ぐるみで仲良くしていました。私にとってAさんは公私ともに信頼できる大切なパートナーなんです」
北村さんは社会人になって以来、ずっと一緒に過ごしてきたAさんとの深い絆を信じたいという気持ちが強く、社員の一人から、Aさんが競合他社の幹部と楽しそうに飲んでいるのを見かけたと聞いても、人違いだと思い込もうとしていました。Aさんのことを疑う自分が許せず、誰にも相談できずにいたのです。
真実を知らず放置した場合に潜む、重大なリスク
法人からの調査依頼を数多く受けている弊社では、北村さんと同様に、会社の共同経営者や幹部から突然退職の申し出を受けたという相談を多数受けています。相談者の多くは、苦楽を共にしてきた仲間を信じたいという気持ちが強く、嫌な予感がしても、調査をすることを躊躇します。
しかし、真実を知らずに放置すると、会社を辞めた元共同経営者や元幹部が以下のような行動に出る可能性があります。
・会社の機密情報を持ち出して競合他社に転職する
・優秀な社員を引き連れて、新しい会社を設立する
・新しい会社を設立して、大口の顧客を奪う
このような行動を取られると、会社の経営に大きなダメージが生じてしまいます。最悪の場合、経営破綻の危機に追い込まれるリスクもあるのです。会社や従業員を守るためにも、早急にリスク回避策を講じるべきです。
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