「払ったはずなのに未納?」転職や結婚・離婚で起こる「年金記録ミス」…放っておくと損する“年金の落とし穴”【元国税専門官が警告】

「払ったはずなのに未納?」転職や結婚・離婚で起こる「年金記録ミス」…放っておくと損する“年金の落とし穴”【元国税専門官が警告】
画像:PIXTA

将来の年金受給額は、働き方や収入によって大きく異なります。自分がどれくらいの年金を受け取れるかを正確に把握するためには、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を活用して確認することが欠かせません。未納や記録ミスがある場合、気づかないと将来の受給額に影響を及ぼすことも。本稿では、元国税専門官である小林義崇氏の著書『僕らを守るお金の教室』(サンマーク出版)より、受給額が意図せず減るケースについて、一部抜粋・編集してお届けします。

年金受給額の平均は?

あなたは自分が年金をどれくらいもらえるか知っていますか? 厚生労働省の「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金に加入していた人が受給できる年金(国民年金+厚生年金)の平均は、男性が月額16万3,380円、女性が月額10万4,686円となっています。しかしこれは、あくまで目安。働き方や収入によって実際に受け取れる年金は決まります。

 

そこで目を通したいのが、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」の情報です。ねんきん定期便は、毎年誕生月に自宅に送られるもので、自分の年金記録や年金の見込額を確認できます。また、インターネットでいつでも年金記録を確認できるねんきんネットも便利です。

未納の確認は「35歳」「45歳」「59歳」で届く封書で

なお、ねんきん定期便は通常ハガキで届きますが、35歳、45歳、59歳になる年には封書で届きます。ハガキの場合、直近1年分の納付状況しか書かれていませんが、封書には全期間の「年金保険料の納付状況」が書かれています。過去に年金の未納がないか、確認できます。

 

これまであまりねんきん定期便の中身をチェックしてこなかった人は、あらためて自分の年金記録を確認することをおすすめします。もしかすると、「保険料を払っているはずなのに、未納で記録されている」ことがあるかもしれません。

 

たとえばねんきん定期便に書かれている「これまでの保険料納付額」が前年と同じ数字なら……直近1年間の年金記録が正しく記録されていないおそれがあります。とくに、過去に転職したことがある人や、結婚や離婚で苗字が変わった人、結婚して姓が変わったものの職場では旧姓を使っている人は、年金に関する情報が誤って記録されている可能性があります

 

*現在の制度では、1人1つの「基礎年金番号」によって年金記録が管理されていますが、平成8年までは年金の種類によって別々に管理されていました。これらの番号を基礎年金番号に統合する際、正しく統合できなかった事例が起きており、いわゆる「年金記録問題」として社会問題になりました。

 

年金制度には「申請主義」というルールがあり、自ら気づいて申請しなければもらうことができません。年金の受給開始年齢に到達する3ヵ月前に日本年金機構から通知が送られますが、その通知を見落とすなどして申請を忘れると、年金は受け取れないのです。

 

年金記録の修正や、後ほど説明する手続きも同様で、自らアクションを起こさなければ損してしまいます。

 

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