子ども時代から徐々に形成される「メンタルブロック」
小中学生くらいになると、子ども同士で「誕生日やクリスマスに親からこんなプレゼントをもらった」「お年玉の額はいくらだった」など、お金に関連する話をするようになります。
本好きのある女性は、少年少女向けの全50巻もある文学全集を持つ友達をうらやましく思っていたそうです。そこであるとき、「私も〇〇ちゃんが持っているような文学全集が欲しい」と母親に告げたところ、全24巻の全集を買ってもらえることになりました。
母親の気持ちはありがたいと思ったものの、内心は「どうして50巻セットを買ってくれなかったんだろう。やっぱり、うちにはあんまりお金がないんだ」と考えてしまったといいます。
それがある種のトラウマになっているのか、「私には欲しいと思った本を見境なく買ってしまう癖があるんです」と話してくれました。
こんなふうに小中学生になると、ほかの家と比較して「じゃあ自分の家はどうなんだろう?」と考えるようになります。そして、「うちは中の下くらい」とか「よその家よりもお金がないらしい」などと判断するようになり、お金のメンタルブロックを徐々に形成していきます。
メンタルブロックとは、私たちの心の中に無意識のうちに形成される目に見えない障壁のこと。「自分には無理だ」「お金を持つことは悪いことだ」「成功するのは一部の人だけだ」といった否定的な信念や思い込みは、典型的なメンタルブロックの例です。結果として、個人の潜在能力の発揮を妨げ、人生の重要な機会を逃す原因となることがあります。
私自身は比較的裕福な家に生まれ育ちましたが、実はかなり長い間それに気づいていませんでした。というのも、私が通っていた私立小学校では、周りの友人たちの家庭がさらに裕福だったからです。
加えて、父は常々「うちはそんなに裕福ではない」と言っていました。これらの環境要因が、自分の家庭の経済状況を「普通」か「普通より下」だと思わせていたのです。実際には父が高給取りだったことを知ったのは後年のことでした。
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